欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/12/7

西欧

RWEが再可エネ事業など分社化、来年末までにIPO

この記事の要約

独エネルギー大手のRWEは1日、再生可能エネルギー、送配電、販売事業を分社化した上で、新規株式公開(IPO)を実施すると発表した。将来性の高い事業の上場によりRWE本体の財務を増強し、原発廃炉の費用をねん出する意図がある […]

独エネルギー大手のRWEは1日、再生可能エネルギー、送配電、販売事業を分社化した上で、新規株式公開(IPO)を実施すると発表した。将来性の高い事業の上場によりRWE本体の財務を増強し、原発廃炉の費用をねん出する意図がある。

3部門は新会社を設立し、新株10%を発行。来年末までにIPOを実施する。RWEは保有する新会社の株式を売り出すものの、出資比率を50%超に維持し、傘下にとどめる。IPOで得た資金は再可エネ事業の強化や送配電網の拡充、デジタル化に投資する意向だ。

新会社は発電能力で3.5ギガワット強、送配電網で計55万キロメートル、顧客数で2,300万人超(計12カ国)を持つ巨大企業となる見通し。売上高と営業利益(EBITDA)はそれぞれ400億ユーロ、40億ユーロを超える(15年決算ベース)。RWEの従業員約6万人のうち約4万人が移籍する。本社はRWEと同じエッセンに置く。

RWE本体は従来型発電とエネルギー取引に事業を絞り込む。同社は再可エネが一段と普及しても火力発電は当面、補完電源として欠かせないとみている。

競合エーオンも昨年11月、従来型発電(原子力、石炭、天然ガス発電)などを分社化する方針を打ち出していた。電力卸価格の大幅下落など事業環境の変化を受けた措置で、エーオンは経営資源を再可エネ、送電・送ガス、顧客向けソリューションの3分野に絞り込むとともに、廃炉コストを新会社(ユニパー)に負担させる。

しかし、ユニパーが経営破たんすると同コストを納税者が負担することになる恐れがあるため、政府はこれを批判。エーオンに同コストの保証義務を課す方向で法改正に乗り出したことから、同社は9月に方針転換し、原子力発電事業を分社化の対象から外し手元に残すことにした。

RWEはこうした事情を踏まえ、「コロンブスの卵」のような今回の組織再編計画を打ち出した。同計画の発表を受けてRWE株は急伸した。