独エボニック・インダストリーズは8日、自動車用塗料に使われるシラン変性バインダーの工業規模製法を開発したと発表した。これにより、架橋密度が高く、より傷に強い塗料の大量生産が可能になる。
従来のバインダーをシラン変性させることでバインダーの性質が改善することは以前から知られていた。ただ、自動車用塗料に使用されるポリウレタンバインダーにこの手法を応用することはコストと手間がかかることから、高性能樹脂などの小規模生産に限られていた。エボニックは、シラン変性バインダーの主要成分であるシリルイソシアネートIPMSの独自の生産方法を開発することでこの問題を解決し、マールにある新工場で昨年半ばからIPMSの生産を行っている。
エボニックでは、IPMSと厳選された原料を使用したバインダーによって、膜厚40マイクロメートルというクリアコートを実現した。新製法による塗料は傷に強いだけでなく、従来の二液型ポリウレタン塗料とも相性が良く、その性質改善に寄与するという。エボニックのコーティングス&アディティブス部門のゲルリッツァー氏は、シラン変性バインダーは今後、木材、プラスチック、金属など自動車分野以外のアプリケーションが期待できるとしている。