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2015/7/24

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MAI CaFeE

この記事の要約

熱可塑性樹脂をマトリクス材とする炭素繊維複合材(CFRP)の研究開発プロジェクト。ドイツの炭素製品大手SGLグループが主導し、アウグスブルク大学と高級車大手のBMWグループも参加している。 実施期間は2015年4月1日~ […]

熱可塑性樹脂をマトリクス材とする炭素繊維複合材(CFRP)の研究開発プロジェクト。ドイツの炭素製品大手SGLグループが主導し、アウグスブルク大学と高級車大手のBMWグループも参加している。

実施期間は2015年4月1日~2017年6月30日まで。予算は290万ユーロ。うち、独連邦研究教育省が100万ユーロを資金支援している。

CFRPは現在、炭素繊維を熱硬化性樹脂で固めた製品が主流となっているが、熱可塑性樹脂をマトリクス材に使用したCFRPは、柔軟性が高く成形しやすい利点がある。サイクルタイムの短縮、エネルギー消費量の削減、コスト削減、リサイクルしやすいといった特徴があり、CFRPの新しい加工方法や投入分野が広がる可能性がある。

その一方、熱可塑性樹脂をマトリクス材に使用するためには、炭素繊維により高い伸縮性が必要となり、表面特性も熱可塑性樹脂に合わせる必要がある。研究グループはこれらの課題に対応するため、生産工程の見直しも含め研究開発に取り組む。

今回のプロジェクトでは、SGLグループが参加する研究クラスター「MAIカーボン」を通して実施しているプロジェクト「MAIポリマー」の成果も活用する。

「MAIカーボン」は、ミュンヘン、アウグスブルク、インゴルシュタットの3都市を結ぶクラスターで、現在、約100のパートナー企業・機関が参加している。2020年までに炭素繊維複合材(CFRP)を自動車、航空宇宙、機械、産業設備など幅広い分野に投入できるようにし、産業化することを目指している。

ドイツ政府は、競争力の強化と経済成長、雇用拡大を目指すハイテク戦略の一環として研究クラスターの構築に取り組んでいる。2007年から1~2年の間隔で独立した審査委員会が研究クラスターの発足について協議しており、これまでに5つのクラスターが形成された。研究クラスターは最大で5年間の資金支援を受けることができる。「MAIカーボン」は、研究クラスターの審査委員会が2012年1月に設立を決めた。

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