2010/2/15

総合 –EUウオッチャー

新欧州委を欧州議会が承認、EU新体制ようやく始動

この記事の要約

欧州議会は9日の本会議で、EUの行政執行機関である欧州委員会の新委員候補26人を承認した。これを受けてバローゾ委員長率いる新欧州委が10日に正式発足し、予定より約3カ月遅れでEUの新体制が始動した。\ 欧州委は政策立案や […]

欧州議会は9日の本会議で、EUの行政執行機関である欧州委員会の新委員候補26人を承認した。これを受けてバローゾ委員長率いる新欧州委が10日に正式発足し、予定より約3カ月遅れでEUの新体制が始動した。

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欧州委は政策立案や行政執行を担当する「EUの政府」にあたる機関。閣僚に相当する委員(任期5年)は、委員長を含めて27人で、各加盟国が1人ずつ送り込む形となる。バローゾ委員長の続投は昨年9月に決まり、当初は11月に新体制が発足する予定だった。

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ところが、EU新基本条約「リスボン条約」の発効が遅れたため新委員の人選作業がずれ込み、さらにバローゾ委員長が11月末に決めた新委員候補のうち、国際協力・人道援助・危機対応担当委員に指名されたブルガリアのルミヤナ・ジェレヴァ氏が、欧州議会の公聴会で経歴の虚偽報告などが問題視され、委員就任を辞退したことから、“組閣”が大幅に遅れていた。

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欧州委員の承認権を持つ欧州議会は9日、ジェレヴァ氏に代わる候補に指名された世界銀行のゲオルギエワ副総裁を含む候補者26人を賛成488、反対137で一括承認。これにより組閣が完了し、新欧州委の発足にこぎ着けた。

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2期目となるバローゾ委員長は、新体制の優先事項として、経済危機からの脱却、地球温暖化対策の主導、新たな成長の基盤作りなどを挙げた。とくに経済問題については、「危機を乗り切るためには、協調が不可欠だ」と述べ、加盟国が自国の利害を超えて連携を強化する必要性を強調した。

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新体制で経済関連の主要ポストに就くのは、経済通貨問題担当のオリ・レーン委員(フィンランド)、域内市場・サービス担当のミシェル・バルニエ委員(フランス)、競争政策担当のホアキン・アルムニア委員(スペイン)。レーン委員はギリシャの財政危機に端を発したユーロ圏の信用不安の解消が緊急の課題となる。また、バルニエ委員は金融・経済危機の再発を防止するため、ヘッジファンドを含む金融規制の強化を推進したい考えだが、欧州の金融センターであるシティを抱える英国が過度の規制に難色を示しており、調整の難航が予想される。

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