2010/5/17

環境・通信・その他

英が500ユーロ紙幣の扱い中止、資金洗浄など犯罪に対応

この記事の要約

英国の銀行や両替所がポンドからユーロへの両替時に500ユーロ紙幣を提供することを中止したことが13日明らかになった。同国の重大組織犯罪庁(SOCA)が発表した調査結果で、同紙幣の90%が重大犯罪や脱税、テロと密接な関係が […]

英国の銀行や両替所がポンドからユーロへの両替時に500ユーロ紙幣を提供することを中止したことが13日明らかになった。同国の重大組織犯罪庁(SOCA)が発表した調査結果で、同紙幣の90%が重大犯罪や脱税、テロと密接な関係があることが判明したため。ただし500ユーロ紙幣の利用を禁止するわけではなく、観光客が英国に持ち込んだ同紙幣のポンドへの両替はできる。

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SOCAは8カ月にわたる調査により500ユーロ紙幣の合法的な利用はわずか10%だったことが判明したとして、「英国での500ユーロ紙幣の需要は重大な組織犯罪に関連することは疑いない」と説明している。500ユーロ紙幣にすれば高額の現金を少量の紙幣で持ち運びでき、たばこの箱なら2万ユーロ分を詰め込めるなど資金洗浄もやりやすくなる。

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欧州中央銀行(ECB)は2005年に発行通貨の見直しを行ったが、ECBの報道官は今年4月に現行の紙幣・硬貨を変更する計画はないと明らかにしていた。しかしイタリア議会のマフィア対策委員会の議員は「脱税と資金洗浄を食い止めるためイタリアは500ユーロ紙幣の流通を中止すべきだ」と語っており、今回の動きは同紙幣廃止の議論に火をつけそうだ。

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イタリア中央銀行によれば2002年の通貨流通開始時に全流通額のうち約34%を50ユーロ紙幣が占め、500ユーロ紙幣は23%だったが、今年2月の時点では500ユーロ紙幣が36%に上り50ユーロ紙幣を上回ったという。なおSOCAは、500ユーロ紙幣の代わりに200ユーロ紙幣の需要が増えるかどうかを監視することにしている。

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