2010/6/21

環境・通信・その他

スウェーデンが「脱原発」転換、議会が法案可決

この記事の要約

スウェーデン議会は17日、30年間にわたって禁止してきた原子力発電所の新規建設を、2011年1月から許可する法案を可決した。同国では1980年に実施された国民投票により、国内に10カ所ある原発が今年以降、老朽化に伴って段 […]

スウェーデン議会は17日、30年間にわたって禁止してきた原子力発電所の新規建設を、2011年1月から許可する法案を可決した。同国では1980年に実施された国民投票により、国内に10カ所ある原発が今年以降、老朽化に伴って段階的に廃止されることになっていた。しかし、製造業や加工業を支援するためにはコスト効率の高いエネルギーを供給する必要があるとして、1997年にこの決定を撤回。さらに今回の法案可決により、原発の利用が長期的に継続されることになった。

\

化石燃料への依存度を軽減し、効率的に温暖化対策を進めるため、スウェーデンは風力発電やバイオマスをはじめとする再生可能エネルギー分野に重点的な投資を行ってきた。ただ、産業界からは、国内で供給される電力のうち40%を生産する原発をこれらのエネルギー源に転換した場合、十分な発電量を確保するのは難しいとの声が上がっていた。

\

法案は賛成174票、反対172票という僅差での可決となり、原発に対する意見が未だ二分されていることが改めて浮き彫りになった。最近の調査によると、有権者の大半は原発の建て替えに前向きで、温暖化対策に有効とみているものの、反対派は安全面の不安に加え、高額な建設費を問題視している。

\

欧州では英国、イタリアのほか、フィンランドでも原発の新設が決まるなど、原発重視に舵(かじ)を切る国が相次いでいる。市民の環境意識が、原子力燃料の使用・処理に関わる安全性への不安を上回ったともいわれている。

\