2010/8/2

環境・通信・その他

温室ガス削減目標引き上げに産業界反発、英独仏が連名で寄稿

この記事の要約

EU域内の温室効果ガス排出量の削減目標を2020年までに1990年比で20%から30%に引き上げる議論をめぐって、産業界から反発が出ている。英産業連盟(CBI)をはじめ独仏の産業連盟は7月28日付けの英フィナンシャルタイ […]

EU域内の温室効果ガス排出量の削減目標を2020年までに1990年比で20%から30%に引き上げる議論をめぐって、産業界から反発が出ている。英産業連盟(CBI)をはじめ独仏の産業連盟は7月28日付けの英フィナンシャルタイムズ(FT)に寄稿し、目標引き上げは多大なコスト負担となり企業に損失を与える可能性があるとの見解を示した。

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英独仏の温暖化対策担当相は7月半ばにFTなど欧州3紙に寄稿し、中国や日本、米国などとの環境技術の競争でEUが優位に立つには目標を高く設定する必要があるとして、排出量の削減目標を30%に引き上げるべきだとする主張と展開した。欧州委員会は5月に目標達成のコスト試算を公表したが、経済危機に伴う生産活動の停滞で昨年は排出量が予想を大幅に下回ったことから20%削減に必要な費用は当初予想の年間700億ユーロから480億ユーロに縮小し、削減目標を30%に引き上げても年間810億ユーロにとどまると分析していた。寄稿ではこれをもとに30%削減にかかる費用は、20%削減に必要な当初予想の費用に110億ユーロ上乗せしただけで済むと指摘していた。

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しかしCBIは、EUの一方的な目標引き上げは不公平を招くうえ景気低迷で打撃を受けた企業には追加コストを負担できないと批判した上で、企業はコストを削減するため活動拠点の開発途上国への移転を余儀なくされると主張している。英国でエネルギー消費の多い企業が集まるエネルギー多消費グループと英労組の労働組合会議(TUC)も先に、英政府の気候変動政策によりエネルギー価格は2020年までに2倍以上となる可能性があり、企業の競争力を弱めて22万5,000人の雇用を危うくすると表明していた。

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