2010/9/27

産業・貿易

EUが一部化学物質の販売規制へ、テロ対策で過酸化水素など対象に

この記事の要約

欧州委員会は20日、特定の化学物質を含有する製品の販売を一部禁止する規制案をまとめた。対象となる製品は、染毛剤や歯のホワイトニング剤、トイレ用洗浄剤、肥料などに含まれる「過酸化水素」、マニキュアのリムーバーに使われる「ア […]

欧州委員会は20日、特定の化学物質を含有する製品の販売を一部禁止する規制案をまとめた。対象となる製品は、染毛剤や歯のホワイトニング剤、トイレ用洗浄剤、肥料などに含まれる「過酸化水素」、マニキュアのリムーバーに使われる「アセトン」、シャンプーに使われる「ヘキサミン」など。ここ数年に発生したテロ攻撃やテロ未遂事件で、犯行グループが手製の爆発物を製造するためにこれらの化学物質を利用していたことから、域内全体を対象とした統一の規制を設ける方針だ。欧州議会および加盟各国政府の承認を得れば、1年6カ月以内に施行されることになる。

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提案された規制案では、一定の濃度を上回る一部の化学物質について、一般市民向けの販売を禁止する。高濃度で含有する製品についてはライセンス制とし、許可を得た者にのみ購入を認める。また、当該物質に関する疑わしい取引を当局に報告するための体制も構築する。ただし、これらの化学物質を含む製品の使用そのものは、法案の採択から3年後まで、現行どおりに認める方向。

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2005年に起きたロンドン同時爆破事件などでも、犯行グループは一般に広く出回っている商品に含まれる化学物質を転用していた。これを受け、欧州委は化学物質関連の規則を域内全体で一本化させる方針を固め、検討を進めていた。化学物質は現在、国際、域内、各国のレベルでそれぞれに規制されているが、EU全域を対象とし、治安確保を目的とする特定の化学物質への規制は存在せず、一部の国で厳しく規制・管理しても、入手が容易な他国で購入し、それらの国に持ち込むことが可能だ。また、一部加盟国のみが特定の商品に厳格な規制を設ければ、公正な域内市場の構築を目指すEUが、自ら市場の歪みを生み出すことになりかねない点が懸念されていた。

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