2011/1/3

競争法

競争法違反容疑のチェコ電力2社、調査妨害で欧州委が異議告知書

この記事の要約

欧州委員会は12月20日、チェコの電力会社Energeticky a prumyslovy holding(EPH)とJ&Tインベストメント・アドバイザーズが競争法違反の調査を妨害したとして、両社に対して異議告知書を送付 […]

欧州委員会は12月20日、チェコの電力会社Energeticky a prumyslovy holding(EPH)とJ&Tインベストメント・アドバイザーズが競争法違反の調査を妨害したとして、両社に対して異議告知書を送付したことを明らかにした。両社には書面または聴聞会で反論の機会が与えられるが、企業は調査に際して欧州委に協力する義務があり、最終的に不当に調査を妨害したとみなされた場合、制裁金として世界における年間売上高の最大1%に相当する罰金支払いを命じられる可能性がある。

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欧州委は2009年11月、チェコ電力最大手の国営CEZが電力元売り市場における独占的地位を乱用して他社と共謀し、価格操作を行っている疑いがあるとして関係各社に立ち入り調査を実施。EPHとJ&Tインベストメントも調査対象となったが、欧州委は両社が証拠隠滅のため、電子メールの通信記録などを完全な形で手渡さなかった疑いがあるとの見方を強め、今年5月から事実関係の究明を進めていた。

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競争法違反の調査では、違反行為を裏付ける文書が破棄されるのを防ぐため、対象企業は幹部や担当者などのメールアカウントを一時停止したり、電子文書にアクセスするためのパスワードの提供などを求められる。欧州委によると、EPHとJ&Tインベストメントへの立ち入り調査では、担当官がメールアカウントの取り扱いや電子文書へのアクセスに際してさまざまなアクシデントに遭遇し、反競争的行為への関与が疑われる人物のメールアカウントを停止できなかったり、暗号化されたメールを解読できないといった問題が生じた。

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EUでは独エネルギー最大手エーオンが同様のケースで欧州委の調査を妨害したと認定され、2008年1月に3,800万ユーロの罰金支払いを命じられた例がある。

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