2011/1/10

総合 –EUウオッチャー

金融監督の新体制始動、欧州金融業界の「転換点」に

この記事の要約

EUで1月から新たな金融監督制度がスタートした。金融危機の再発防止に向けたもので、国境を越えて銀行・保険・証券の各セクターを横断的に監視する3つの監督機関と、金融システム全体のリスクを監視する「欧州システミック理事会(E […]

EUで1月から新たな金融監督制度がスタートした。金融危機の再発防止に向けたもので、国境を越えて銀行・保険・証券の各セクターを横断的に監視する3つの監督機関と、金融システム全体のリスクを監視する「欧州システミック理事会(ESRB)」が活動を開始した。欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は監督強化を「欧州金融業界にとって転換点となる」と形容した。

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新設された3つの監督機関は、欧州銀行監督機構(EBA)、欧州保険・年金監督機構(EIOPA)、欧州証券監督機構(ESMA)。3機関はロンドン、フランクフルト、パリに本部を置き、EU各国の当局間の調整や、国境を越えて活動する大手金融機関の監視を行う。さらに危機に際して緊急対応策を採用する権限が与えられ、リスクの高い金融商品取引を一時的に停止することが可能になる。証券市場を監視するESMAには新たに格付け会社の監督権限が付与されるほか、緊急時に株式や国債の空売りを禁止できる権限も与えられる。

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一方、マクロ面から金融システム全体を監視するESRBは、特定の国や金融機関の抱えるリスクが欧州全体に波及する危険を分析し、必要に応じて各国当局に警告したり、対応策を勧告する。ESRBはEU各国の中央銀行総裁を中心に構成されるが、設立から5年間は欧州中央銀行(ECB)総裁が議長を務める。初代議長にはECBのトリシェ総裁が就く。

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