2011/1/10

総合 –EUウオッチャー

12月のユーロ圏インフレ率、ECBの上限目標値を突破

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが4日発表したユーロ圏の2010年12月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比2.2%となり、前月の1.9%から急上昇した。これは08年10月以来の高水準。欧州中央銀行(ECB) […]

EU統計局ユーロスタットが4日発表したユーロ圏の2010年12月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比2.2%となり、前月の1.9%から急上昇した。これは08年10月以来の高水準。欧州中央銀行(ECB)が上限目標値とする2%をついに超過した。

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インフレ率が2%を超えるのは08年11月以来、約2年ぶり。詳細は14日に公表されるが、原油高によるエネルギー価格上昇と、食品など商品価格の上昇が主因であることは確実だ。

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ECBは景気を下支えするため、09年5月から政策金利を過去最低水準である1%に据え置いている。ECBの最重要課題は物価安定であることから、本来ならば今回のインフレ率急上昇を受けて、利上げに転じたいところ。だが、ユーロ圏の景気回復はもたついており、さらに財政再建を進める各国が緊縮政策に動いていることで下振れリスクも大きい状況にある。このため、市場ではECBが景気動向を考慮し、当面は利上げを見送るとの見方が大勢のようだ。

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 ユーロ圏は1月からエストニアの参加で17カ国体制に拡大したが、今回の統計は同国を除く16カ国が対象となっている。

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