2011/2/7

総合 –EUウオッチャー

金融監督3機関のトップ人事、やっと決定

この記事の要約

欧州議会は3日の本会議で、金融監督制度改革の一環として今年1月に発足した3つの監督機関のトップ人事を賛成多数で承認した。近く3機関の事務局長も選出される見通しとなっており、金融危機の再発防止に向け、EUレベルで銀行・証券 […]

欧州議会は3日の本会議で、金融監督制度改革の一環として今年1月に発足した3つの監督機関のトップ人事を賛成多数で承認した。近く3機関の事務局長も選出される見通しとなっており、金融危機の再発防止に向け、EUレベルで銀行・証券・保険の各セクターを横断的に監視する金融監督システムが本格的に始動する。

\

ロンドンに本部を置く欧州銀行監督機構(EBA)の総裁にはイタリア中央銀行のアンドレア・エンリア氏が就任する。同氏は今月1日に開かれた欧州議会の公聴会で、今年上半期に実施予定の域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)は「より強力かつ厳格」に行わなければならないと強調。そのうえで、資本水準と資金流動性を同時に測ることは困難と指摘し、流動性についてはストレステストとは別に審査を行うべきだとの考えを示した。

\

一方、欧州証券監督機構(ESMA)(本部:パリ)の総裁にはオランダの証券監督機関AFMのトップSteven Maijoor氏、欧州保険・年金監督機構(EIOPA)(同フランクフルト)の総裁にはポルトガルの保険監督機関ISP出身のガブリエル・ベルナルディーノ氏が就く。

\

欧州議会は今回の人事をめぐり、最終候補を絞り込む段階で選定プロセスに関与できなかったことや、女性候補が1人も含まれていない点、さらに報酬が低いため会長職への応募が少なく、優秀な人材を確保できなかったのではないかといった懸念を抱いており、1日の経済・金融委員会では承認手続きを延期していた。しかし、欧州委員会とEU議長国ハンガリーが欧州議会の説得にあたり、ようやく本会議での承認にこぎつけた。

\