2011/2/21

総合 –EUウオッチャー

EU版IMFの融資枠は5千億ユーロ、ユーロ防衛基金の2倍に

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は14日に開いた財務相会合で、2013年にEU版の国際通貨基金(IMF)として常設される「欧州安定メカニズム(ESM)」について、ユーロ圏諸国の負担による融資枠を5,000億ユーロとすることで合意した。財 […]

ユーロ圏17カ国は14日に開いた財務相会合で、2013年にEU版の国際通貨基金(IMF)として常設される「欧州安定メカニズム(ESM)」について、ユーロ圏諸国の負担による融資枠を5,000億ユーロとすることで合意した。財政危機に陥ったユーロ参加国に対する支援の現行の枠組みであるユーロ防衛基金と比べて2倍の規模となる。3月下旬のEU首脳会議で正式決定する。

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EUは昨年5月、ギリシャ危機が飛び火してデフォルト(債務不履行)に陥りかねない国が出た場合に備えて、IMFと共同で総額7,500億ユーロのユーロ防衛基金を創設した。しかし、これは3年間の時限措置で、13年6月に期限を迎える。このためEUは12月の首脳会議で、将来発生するユーロ圏の信用危機に備えた常設的な支援基金となるESMの創設を決めた。

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ユーロ防衛基金のうちEU、ユーロ圏が拠出する基金は、ユーロ参加国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)の2つからなる。基金規模は総額5,000億ユーロに達するが、債券発行によって資金を調達する必要上、高格付けを保つため2,000億ユーロを準備金として計上しなければならず、実際の融資枠は2,500億ユーロにとどまっている。これを引き継いだ常設基金となるESMでは、融資枠そのものを5,000億ユーロとすることで、支援能力は倍増されることになる。

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ESMには、非ユーロ圏のEU諸国が参加するほか、IMFも2,500億ユーロ程度を拠出する方向で調整を行っており、基金規模はユーロ防衛基金の7,500億ユーロを上回る見通しだ。

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ESMはユーロ防衛基金と異なり、ある国への支援が決まった場合、その国の国債を持つ民間投資家にも、必要に応じて金利減免など一定の負担を求める点が特徴。詳細は3月24、25日のEU首脳会議で固める。

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一方、現行のユーロ防衛基金をめぐっては、すでに融資を行っているアイルランドに続き、同じく財政難を抱えるポルトガル、スペインなどが支援を要請した場合には融資枠が小さすぎるとして、拡充することが決まっている。これについてもEUは3月の首脳会議で詳細を決める予定だ。

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