2011/6/6

環境・通信・その他

排出権価格が10年後に44%下落、「省エネ指令」影響評価で欧州委試算

この記事の要約

欧州委員会がEUの進める省エネ対策が今後10年間に二酸化炭素(CO2)排出削減で大きな効果を生み、その結果、排出量取引制度に基づくCO2排出権の取引価格が最大44%下落すると予測していることが分かった。ロイター通信が報じ […]

欧州委員会がEUの進める省エネ対策が今後10年間に二酸化炭素(CO2)排出削減で大きな効果を生み、その結果、排出量取引制度に基づくCO2排出権の取引価格が最大44%下落すると予測していることが分かった。ロイター通信が報じた。

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欧州委は現在、新たな省エネ対策をまとめた指令案の策定を進めており、ロイターは新ルールが市場に及ぼす影響を分析した内部文書を入手した。これによると、PRIMESと呼ばれるモデルを用いた試算では、排出権価格は現在の1トン当たり平均25ユーロ前後から10年後には14ユーロ程度まで下落する見通し。一方、E3MEと呼ばれる別のモデルによると、排出権価格はほぼゼロになると予測されている。

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影響評価文書は「CO2排出削減義務を果たすための費用が縮小する一方、企業は省エネ目標を達成するためのコスト増に直面することになる」と指摘。「省エネの義務化はCO2排出削減に大きく貢献する。全体としてみると企業のコスト負担は軽減され、世界市場での競争力強化につながる」と結論づけている。

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排出権価格が下落すると企業による低炭素技術への投資意欲が減退することになる。このため欧州委は排出量取引制度を軸に脱炭素化を推進するという従来のアプローチを見直し、より厳しい省エネ目標を設定してCO2排出削減につなげる方向に重点を移したといえそうだ。

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