2011/7/4

産業・貿易

対韓FTA、1日に発効

この記事の要約

EUと韓国との自由貿易協定(FTA)が1日に発効した。EUとアジア諸国とのFTA発効は今回が初めて。双方は自動車、医薬品、電気製品、農産品など幅広い品目で段階的に関税を撤廃する。工業製品については向こう5年以内に全品目に […]

EUと韓国との自由貿易協定(FTA)が1日に発効した。EUとアジア諸国とのFTA発効は今回が初めて。双方は自動車、医薬品、電気製品、農産品など幅広い品目で段階的に関税を撤廃する。工業製品については向こう5年以内に全品目に対する関税が相互に撤廃されることになっており、5年後には金額ベースで98.7%の関税が撤廃される見通し。コメなど一部の例外を除く広範な貿易品目をカバーするFTAの発効により、とりわけ韓国の自動車メーカーなどが欧州市場でシェアを拡大するとみられている。

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FTA発効に伴い、EUは約90%、韓国は80%以上の貿易品目の関税を即時撤廃する。3年以内にEUは工業製品の99%、韓国は同96%に対する関税を廃止する。最大の焦点だった自動車に関しては、双方とも排気量1,500cc超の中・大型乗用車は3年以内、1,500cc以下の小型乗用車は5年以内に関税を撤廃する。現在の関税率は中・大型車、小型車ともEUが10%、韓国が8%となっている。一方、自動車部品に対する関税は発効と同時に撤廃された。

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韓国にとってEUは中国に次ぐ貿易相手で、韓国への直接投資はEUが最大。昨年のEU・韓国間の貿易額は約922億ドルと、09年の水準を17%上回った。欧州委によると、EU・韓国間の貿易額はFTAを結ばなかった場合と比べ、向こう20年で2倍以上に拡大するとの試算がある。また、EU域内の輸出企業は初年度だけで8億5,000万ユーロの恩恵を受けると予測されている。

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EUと韓国は2007年5月にFTA締結交渉を開始した。09年10月に大部分の工業製品と農産物の関税を段階的に撤廃する協定に仮署名したが、韓国製自動車の大量流入による自国産業への影響を懸念するイタリアが承認を拒否。最終的に昨年9月、発効時期を当初の予定より半年遅い2011年7月1日とすることで妥協が成立し、EUと韓国は10月に開いた首脳会議でFTAに正式署名した。

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EUはこれまでにメキシコや南アフリカなどとFTAを締結し、現在、カナダ、インド、シンガポール、マレーシアなどと締結交渉を進めている。一方、日本との経済連携協定(EPA)に関しては、5月の定期首脳会議で交渉の範囲などを議論する予備交渉を早期に開始することで合意。早ければ年内にも本交渉がスタートする見通しだが、今回の対韓FTA発効で日本の輸出企業に深刻な影響が出ると予想されている。

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