2011/9/19

競争法

銀行の国家補助例外扱い、欧州委が当面維持の方針

この記事の要約

EUでは金融危機をきっかけに経営難に陥った域内の銀行を救済するため、国家補助を厳しく制限するルールを緩和して各国政府による資本注入などを認めているが、欧州委員会は当面の間、現行の例外規定を維持する方針を示唆している。財政 […]

EUでは金融危機をきっかけに経営難に陥った域内の銀行を救済するため、国家補助を厳しく制限するルールを緩和して各国政府による資本注入などを認めているが、欧州委員会は当面の間、現行の例外規定を維持する方針を示唆している。財政悪化が深刻化するなか、金融部門への直接的支援が各国政府にとって大きな負担となっているという事情を踏まえ、欧州委は来年初頭からより厳格な規定を復活させる計画だった。しかし、経済見通しが不透明で依然として金融部門が脆弱であることから、金融システムの安定化を優先する必要があると判断した。

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欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は15日にワルシャワで行われたシンクタンクEurofin主催の会合で講演を行い、「夏までは年内に市場が正常化するとの前提で、来年初頭から金融部門に対する新たな規制を導入する計画だったが、現在の状況を考えると早い段階で新ルールに移行することは安全とはいえない」と発言。金融システムが安定しないうちに公的支援を規制すれば信用不安の拡大につながると指摘し、全体的な経済情勢を見極めたうえで新たな枠組みへの移行時期を決める必要があるとの考えを示した。

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同副委員長はそのうえで、条件が整えばただちに金融部門に対する国家補助規定の例外措置を廃止し、通常のルールを適用する必要があると強調。「当然ながら、08-09年の危機下で導入された例外的な措置は終結させなければならず、それは早いに越したことはない。金融市場が安定すれば段階的に新ルールに移行し、銀行に対する公的支援を厳しく監視する」と述べた。

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