2011/11/21

総合 –EUウオッチャー

7-9月期のユーロ圏GDPは0.2%増、独仏堅調でマイナス成長回避

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが15日発表した2011年7-9月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増となり、伸び率は前期と同水準だった。信用不安に直面する中、ユーロ圏 […]

EU統計局ユーロスタットが15日発表した2011年7-9月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増となり、伸び率は前期と同水準だった。信用不安に直面する中、ユーロ圏経済を支えるドイツ、フランスが堅調で、小幅ながらプラス成長を維持した。ただ、信用不安が収束していないことから、10-12月期にマイナス成長に転落するのは避けられない見通しだ。(表参照)

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EU27カ国ベースのGDP伸び率も前期と同じ0.2%。前年同期比の伸び率はユーロ圏、EUとも1.4%で、それぞれ前期の1.6%、1.7%から縮小した。

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今回のGDP速報値は、EU18カ国のデータに基づいて算出された。ドイツの成長率は前期比0.5%で、前期の0.3%から拡大。フランスは0.4%となり、前期のマイナス0.1%から回復した。どちらも個人消費、設備投資の伸びに支えられた。英国も0.5%の成長を確保した。

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これに対して、オランダが前期のプラス0.2%からマイナス0.3%に悪化したほか、キプロス、財政危機でEUと国際通貨基金(IMF)から支援を受けているポルトガルがマイナス成長となった。スペイン、ベルギー、チェコ、ブルガリアはゼロ成長にとどまった。

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財政危機が深刻なギリシャ、イタリア、アイルランドは同期のGDP統計をまとめておらず、GDPは今後、下方修正される可能性がある。

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ユーロ圏ではギリシャ、イタリアなどの信用不安が続いているほか、その他の国も財政再建に向けた緊縮策を実施している。こうした状況下で内需は停滞しており、9月の鉱工業生産は2009年9月以来の大幅なマイナスとなった。10-12月期は小幅のマイナス成長となるのは確実な情勢で、今月初めに利下げを実施した欧州中央銀行(ECB)は、追加利下げのタイミングを模索するとみられる。

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