2012/9/17

総合 –EUウオッチャー

オランダ下院選で与党が勝利、反ユーロへの政策転換回避

この記事の要約

オランダで12日投開票された下院選挙で、ルッテ首相が率いる中道右派の与党・自由民主党(VVD)が僅差ながら第1党の座を守った。単独過半数には届かず、連立交渉が長引く可能性もあるが、EUとの協調路線をとるルッテ政権の政策が […]

オランダで12日投開票された下院選挙で、ルッテ首相が率いる中道右派の与党・自由民主党(VVD)が僅差ながら第1党の座を守った。単独過半数には届かず、連立交渉が長引く可能性もあるが、EUとの協調路線をとるルッテ政権の政策が信任された形で、ドイツと共に財政規律を重視してきたオランダが反ユーロに路線転換する事態は回避された。

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オランダでは財政再建策をめぐる与野党間の調整がつかず、今回の選挙につながった。このため、財政政策が最大の争点となり、前評判では緊縮策に反対する社会党が躍進し、EU離脱を訴える極右の自由党も善戦するとの見方が有力だった。しかし、最終的には定数150に対し、親EU派のVVDとサムソン党首率いる野党・労働党がそれぞれ41議席、39議席を獲得。社会党は前回と同じ15議席にとどまり、自由党は24議席から15議席に大きく後退した。また、これまでVVDと連立を組んでいたキリスト教民主勢力(CDA)は13議席にとどまり、現与党の議席数は過半数を下回った。

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安定した政策基盤を確保するには第1党と第2党による大連立が最も容易で、ルッテ首相から連立協議の調整役に指名されたカンプ社会・雇用相がVVDと労働党の連立を推奨する可能性もある。ただ、労働党はEUの基本政策を支持する一方、経済成長や雇用重視を掲げており、ルッテ政権は従来の緊縮路線を見直す必要に迫られることになる。

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EUではドイツ連邦憲法裁判所が12日、欧州の金融安全網である欧州安定機構(ESM)の創設を認める判断を下し、ようやく最大の出資国であるドイツの批准を経てESM発足の見通しがついた。一方、オランダでは債務危機国への救済疲れや緊縮策への反発から、国民の間にEU懐疑論が広がる事態も懸念されたが、結果的に反欧州や反ユーロの主張は受け入れられなかった。INGグループのアナリストは最新のリポートで「独連邦憲法裁判所がESMを承認した同じ日に、オランダ国民は反EUを唱える政党への投票を差し控えた。9月12日はユーロにとって良い日になった」と指摘している。

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