2012/10/8

産業・貿易

域内銀行の資本不足緩和、2千億ユーロの増資実施

この記事の要約

欧州銀行監督局(EBA)は3日、EU内の主要71銀行が昨年12月末から6月末までに総額2,050億ユーロの資本増強を実施したと発表した。増強額は当初必要とされていた1,147億ユーロの2倍を上回る規模で、EBAは「銀行は […]

欧州銀行監督局(EBA)は3日、EU内の主要71銀行が昨年12月末から6月末までに総額2,050億ユーロの資本増強を実施したと発表した。増強額は当初必要とされていた1,147億ユーロの2倍を上回る規模で、EBAは「銀行は実体経済への資金供給に向けた状況が改善された」としている。

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EUは昨年10月末の首脳会議で、債務危機対策として、域内銀行の資本増強策を決定。普通株と内部留保で構成する「狭義の中核的自己資本比率(Tier 1)」を6月までに、2013年から導入される国際的な新資本規制「バーゼル3」の最低7%より厳しい9%以上に引き上げることを銀行に命じた。

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EBAが12月に発表した査定結果では、対象71行のうち31行が自己資本比率の目標達成に必要な資本が不足していることを明らかにし、総額1,147億ユーロの増資を指示した。同31行のうち、スペインの大手銀行バンキアなど4行は、その後に公的支援などによって必要な資本増強を実施したことから除外され、27行が760億ユーロの増強を求められていた。

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2,050億ユーロの資本増強のうち、資本不足が指摘されていた27行によるものは1,157億ユーロで、必要とされた760億ユーロを大きく上回った。さらに、すでに基準を満たしていた銀行が追加で470億ユーロの増資を実施。このほか公的救済が決まっているバンキアやギリシャの銀行が総額420億ユーロの公的資金注入を受けた。

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EBAは、各行の資本増強は大部分が新株発行、利益の内部留保などによるもので、懸念された貸し渋りは生じなかったとしている。

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EBAによると、伊モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行、スロベニアのノヴァKBN銀行、キプロスのバンク・オブ・キプロス、マーフィン・ポピュラー銀行の4行が、中核的自己資本比率が9%未満と基準を満たしていないが、公的資金の注入による資本増強が計画されており、順守が見込まれるという。

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