2012/10/8

環境・通信・その他

GMトウモロコシの発がん性懸念、EFSAは疑問視

この記事の要約

欧州食品安全機関(EFSA)は4日、フランスの研究チームが先に公表した遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「NK603」と発がん性の関連を指摘する論文について、実験方法やデータ分析に不適切な点があり、「科学的妥当性に欠ける […]

欧州食品安全機関(EFSA)は4日、フランスの研究チームが先に公表した遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「NK603」と発がん性の関連を指摘する論文について、実験方法やデータ分析に不適切な点があり、「科学的妥当性に欠ける」との見解を表明した。EFSA は仏側に追加情報の提出を求めており、さらに詳細な分析を行ったうえで月内に最終的な審査結果をまとめる方針を示している。

\

問題となっているのは、米モンサントが開発した除草剤「ラウンドアップ」に耐性を持つGMトウモロコシ。EFSAは2009年、NK603は遺伝子組み換えを施していない通常のトウモロコシと同様に安全との判断を示し、EU内への輸入が認められている。しかし、専門誌に掲載されたカーン大学の研究チームの論文によると、マウス200匹を使った2年間にわたる実験では、NK603入りのエサを食べるか、ラウンドアップに接触したグループでがんの発生率が高いことが確認された。仏政府はこれを受け、食品環境労働衛生安全庁(ANSES)に実験データの検証を指示。エロー首相は論文の正当性が確認された場合、EUに対し禁輸を含めた適切な対応を求める方針を示していた。

\

EFSAはフランスでの研究について、平均的なマウスの寿命に相当する2年間という長期にわたって実験が行われた点に着目している。実験期間が長くなれば、通常に比べてがんを発症する確率が高くなるのは当然のことで、GM作物を摂取したかどうかにかかわらず、がんは自然発生した可能性が高いと指摘。研究チームはこうした点をまったく考慮しておらず、データ分析の手法に問題があるとして、公表されたデータを見る限り「NK603に関する安全性評価を見直す必要はない」との見解を示している。

\

実験を主導したカーン大のセラリーニ博士はAFP通信の取材に対し、EFSAはどのような情報に基づいて評価を行ったか明らかにすべきだと反論。「それまでいかなる追加情報も提供しない」と語っている。

\