2013/5/6

競争法

ギリシャ農業銀への公的支援、適正と認定

この記事の要約

欧州委員会は3日、ギリシャ政府が経営難に陥った国営ギリシャ農業銀行(ATE)の清算に向けて実施した支援策はEUの国家補助規定に適合していると認定した。売却対象となったATEの健全部門に対する資本注入などは国家補助にあたる […]

欧州委員会は3日、ギリシャ政府が経営難に陥った国営ギリシャ農業銀行(ATE)の清算に向けて実施した支援策はEUの国家補助規定に適合していると認定した。売却対象となったATEの健全部門に対する資本注入などは国家補助にあたるものの、円滑に清算処理を進めるうえで必要な最低限の資金支援だったと指摘。また、ATEはすでにピレウス銀行に吸収・合併されているため、同行に対する政府の支援策が金融市場における競争を歪める恐れはないと判断した。

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ATEは農村部を中心に約200万人の顧客を持つギリシャ5位の銀行だった。ギリシャ政府はATEの再建に向け、欧州委の承認を経て2011年に2億9,000万ユーロの資本注入を実施したが、その後同行の経営は急速に悪化した。政府はさまざまな手段を講じて救済を試みたが、EUや国際通貨基金(IMF)による金融支援の条件となっている債務削減を進める必要に迫られ、昨年7月にATEの売却を決定。同行の健全部門に5億7,000万ドルの資本注入を行ったうえで今年3月に入札を実施し、最高額を提示したピレウスへの売却が決まった。

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欧州委はまず、ピレウスへのATE売却は入札による正式な手続きを経た取引であることに言及。同決定はATEの健全部門が長期的に安定した経営を維持するうえで最善の選択肢であり、政府が公約している金融セクターの再編に寄与すると分析している。さらに、ピレウスとの事業統合は独立した管財人の監視下に置かれ、同プロセスはピレウスの再建計画のなかでも妥当性が検証されると指摘。ATEに対する一連の公的支援は必要かつ最小限のもので、国家補助規定の救済支援措置に関するルールに適合していると結論づけた。

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