欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは2カ月連続。一方、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、低金利政策を当面は継続することを言明。さらに、追加利下げの可能性も示唆した。
\ドラギ総裁は記者会見で、「(理事会は)長期間にわたって政策金利を現行水準に据え置くか、より低い水準とすることを見込んでいる」と発言。また、同日の理事会で「利下げの可能性について真剣な論議が行われた」と述べ、必要に応じて追加利下げに踏み切る用意があることを示唆した。
\ECBが中期的な金利政策について、明確な指針を示すのは初めて。ドラギ総裁は低金利政策を維持する期間が具体的にどの程度かという記者団の質問に「長期間とは長期間のことだ」と述べ、明言を避けたが、「金融緩和からの出口は非常に遠い」と付け加え、当面は利上げを行わないことを強調した。
\ECBが低金利の長期継続を宣言するという異例の動きに出たのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が量的緩和策の年内縮小を示唆したことで、債務危機で揺れた金融市場が安定化に向かっているユーロ圏も追随することへの不安が広がっていることを受けたもの。債務危機に直面するポルトガルの政局混迷で、国債市場が不安定な動きを示していることも考慮したとみられる。総裁の発言を市場は歓迎し、欧州各国の株価は同日に上昇。ポルトガル、イタリアなど重債務国の長期国債の利回りも低下した。
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