2014/2/24

産業・貿易

ICT分野で欧州企業が後退、上位100社内は9社のみ

この記事の要約

米大手コンサルティング会のA.T.カーニーがこのほどまとめたリポートによると、世界のハイテク企業上位100社(売上高ベース)のうち、欧州に拠点を置く企業は9社で、世界全体の売上高に占める欧州企業の割合も10%にとどまるこ […]

米大手コンサルティング会のA.T.カーニーがこのほどまとめたリポートによると、世界のハイテク企業上位100社(売上高ベース)のうち、欧州に拠点を置く企業は9社で、世界全体の売上高に占める欧州企業の割合も10%にとどまることが分かった。A.T.カーニーは米ヒューレット・パッカードによる英オートノミーの買収を例に挙げ、欧州の情報通信技術(ICT)企業は成長著しいアジアや米国のライバ ルにシェアを奪われていると指摘。知識集約型産業の成長なくして欧州経済の競争力を回復することはできないと警告している。

リポートは欧州のICT企業が活力を失っている原因について、熟練した技術者の不足、市場の分断化、戦略的な先見性の欠如などを挙げている。米科学委員会によると、技術工学、数学、情報科学を専攻する学生の割合は中国と台湾でそれぞれ31%、韓国でも29%に上るのに対し、欧州では平均17%と低くなっており、英国だけで技術系の専門職が125万人不足しているとのデータもある。

リポートを執筆したA.T.カーニーのアレックス・フライバーグ氏はこのほかに、米国やアジアに比べて研究・開発(R&D)への投資が少ないことも欧州に拠点を置くハイテク企業の成長を妨げる要因になっていると分析している。同氏は「欧州委員会は欧州経済の成長と競争力強化を図るうえでICT分野が重要な役割を担うことを認識しているが、政治家は欧州企業の弱体化を食い止めるための十分な対策を講じていない」と指摘。「各国政府、企業、業界団体、研究機関などが連携して長期的なビジョンを策定し実行する必要がある」と述べている。