2012/7/18

総合・マクロ

ロシア下院、WTO加盟を批准

この記事の要約

ロシア下院は10日、同国の世界貿易機関(WTO)加盟を批准した。野党はすべて反対票を投じたが、過半数を占める与党・統一ロシアの賛成で可決した。プーチン大統領の署名を経て、ロシアは156番目の加盟国となる。\ WTOは昨年 […]

ロシア下院は10日、同国の世界貿易機関(WTO)加盟を批准した。野党はすべて反対票を投じたが、過半数を占める与党・統一ロシアの賛成で可決した。プーチン大統領の署名を経て、ロシアは156番目の加盟国となる。

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WTOは昨年12月、ロシアの加盟を承認した。しかし、反対派による憲法裁判所への提訴などで議会での手続きが遅れ、批准期限となる今月23日を前にようやく可決の運びとなった。

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WTO加盟により、ロシアは国際競争にさらされることになる。関税障壁や、特定業界に対する政府助成が中期的に廃止されるためだ。

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投資銀行のルネッサンス・キャピタルによると、国内経済のおよそ半分が貿易障壁の恩恵にあずかっている。WTO加盟により輸入関税は農作物でこれまでの平均13.2%から10.8%に、工業製品では9.5%から7.3%に引き下げられる。ほかには◇4年以内に電気通信企業に対する国外企業の出資上限49%を撤廃◇9年以内に国外保険会社によるロシア子会社設立を許可◇銀行による支店開設の簡易化――などが政府に義務付けられている。

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輸出面では加盟による変化は小さい。輸出の7割を占める石油・天然ガスの輸出関税は影響を受けない。国営企業であるガスプロムによる輸出独占も同様だ。

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世界銀行はWTO加盟による経済効果が中期的には国内総生産(GDP)の3%に上ると予測する。欧州諸国はロシアとの取引が活発化するとみて、加盟を歓迎する立場だ。専門家らは、国外から機械製造業界・農産業などへの投資が増えるとみる。

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一方で国内における反対は根強い。独立系世論調査機関のレヴァダ研究所によると、6月の時点で加盟に賛成な人は39%と、2年前の52%に比べ大きく減少した。加盟に起因する混乱をきらっているもようだ。

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野党は国内産業の近代化を待たずにWTOに加盟するのは時期尚早として、政府の方針を強く批判している。国内企業が競争にさらされ、解雇が相次ぐようになれば、与党の支持が低下する可能性もある。

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