2014/1/22

総合・マクロ

EU・露首脳会議の夕食会取りやめ、ウクライナめぐる確執が背景に

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、今月末に開催されるEUとロシアの首脳会議で恒例の夕食会を取りやめ、通常2日間の会議を1日に短縮する方針を明らかにした。ロシアからの強い圧力でウクライナがEUとの「連合協定」への調印を […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、今月末に開催されるEUとロシアの首脳会議で恒例の夕食会を取りやめ、通常2日間の会議を1日に短縮する方針を明らかにした。ロシアからの強い圧力でウクライナがEUとの「連合協定」への調印を見送ったことが背景にある。欧州委の報道官は対露関係の「最近の動向を踏まえて」会議日程の変更を決めたと説明している。

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EU・露首脳会議は年2回行われており、通常は初日の夕食会から翌日の午後までの日程で開催される。しかしEU外交筋によると、今回は1月28日に2時間半の会議と昼食会が予定されているのみ。首脳会議にはEU側から欧州委のバローゾ委員長、ファンロンパイ大統領、アシュトン外務・安全保障政策上級代表、ロシア側からはプーチン大統領とラブロフ外相が出席する見通しだ。

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ウクライナは欧州との経済統合を最優先課題に掲げてEUとの連携強化を目指しており、自由貿易協定(FTA)を含む連合協定への調印は、ロシアの影響を強く受けてきた同国にとって歴史上の大きな転換点と位置付けられていた。しかし、EUへの接近を阻止したいロシア側は、天然ガスの供給停止をちらつかせるなどしてウクライナに調印を断念するよう牽制。ウクライナのヤヌコビッチ大統領は昨年11月、連合協定への調印を見送り、低迷する経済の立て直しを図るためロシアとの関係改善を最優先する方針を打ち出した。ウクライナ国内ではロシアの圧力に屈したヤヌコビッチ政権に抗議する反政府デモが続いているが、ロシアはウクライナの決断を評価し、150億ドルの金融支援や天然ガス価格の引き下げなどを打ち出している。

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EU内ではプーチン政権に対する批判が高まっているが、現実にはエネルギー政策や貿易、さらに中東外交など多くの分野でロシアとの協力関係が不可欠。昨年末の首脳会議でも、フランスなどがEUとしてロシアを正式に非難することに強く反対した経緯があり、ロシアやウクライナへの対応をめぐってEU内で足並みの乱れが表面化している。

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