中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2014/1/22

ハンガリー

ハンガリー、原子炉2基をロシアへ発注

この記事の要約

ハンガリー政府が進めているパクシュ原子力発電所の拡張計画で、ロシア製原子炉を採用することが決まった。オルバン首相がロシアを訪れた14日、関係企業が合意書に調印した。設置費用はロシア政府が融資する。日程などの詳細は今後詰め […]

ハンガリー政府が進めているパクシュ原子力発電所の拡張計画で、ロシア製原子炉を採用することが決まった。オルバン首相がロシアを訪れた14日、関係企業が合意書に調印した。設置費用はロシア政府が融資する。日程などの詳細は今後詰めるとしている。ハンガリー筋によると、稼動は早くても2023年になる見通し。

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パクシュ原発は1980年代に旧ソ連の支援を受けて整備された。原子炉4基で合計2,000メガワットの出力を有する。今回の拡張で2基を新設し、発電能力を2倍に引き上げる。

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ロシア政府はハンガリーに対し、プロジェクト費用として最大100億ユーロを融資する。設置工事はロシア原子力公社(ロスアトム)が担当する。同社はまた、核燃料供給、廃棄物処理、保守業務も合わせて手がける。同社の関係者によると、設置費用は100億ユーロ以内に収まる見通しという。

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パクシュ原発はブダペストの南方およそ100キロメートルに位置し、国内電力消費の約40%をまかなっている。拡張計画は体制転換前から議論されてきたが、オルバン政権が2012年に策定したエネルギー国家戦略で具体化した。将来的に電力輸出も視野に入れている。

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 ■東欧の原発計画

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原子力を利用して発電能力を強化しようという動きは、ハンガリー以外の東欧諸国でもみられる。ポーランドは国内初の原発建設に向けた計画を具体化しつつある。ブルガリアは先ごろ、コズドゥルイ原発の拡張で米ウェスチングハウスと技術契約を締結した。ルーマニアもチェルナドヴァ原発の拡張で中国投資家と覚書を交わしている。

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ただ、どの国にとっても費用調達が大きな問題であることには変わりがない。バルト三国は、イグナリナ原発の稼動停止を機に強まったロシアへのエネルギー依存を緩和するため、新原発の建設計画を共同で推進してきた。しかし、費用への懸念が高まり、2012年のリトアニア国民投票で計画が否決されるなど、その見通しは不透明だ。チェコもテメリン原発拡張の実施条件として、採算性確保を挙げている。

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