2014/6/25

ハンガリー

政府、外貨建て住宅ローンの救済策加速へ

この記事の要約

ハンガリーの最高裁判所(クーリア)は16日、社会的問題となっている外貨建て住宅ローン問題をめぐり、銀行が金利引き上げなどローン契約条項を一方的に変更することは不当との判断を示した。オルバン政権はこれを受け、外貨建て住宅ロ […]

ハンガリーの最高裁判所(クーリア)は16日、社会的問題となっている外貨建て住宅ローン問題をめぐり、銀行が金利引き上げなどローン契約条項を一方的に変更することは不当との判断を示した。オルバン政権はこれを受け、外貨建て住宅ローン債務者の救済措置を加速させる方針だ。

ハンガリーではスイスフランなどの低金利通貨建てローンが普及しているが、リーマンショック以降の通貨急落で返済額が膨らみ債務の履行が困難となるケースが続出した。『ウォール・ストリート・ジャーナル』がハンガリー国立銀行(中央銀行)のデータをもとに推計したところによると、外貨建て住宅ローンの残高は今年3月末時点で3兆4,230億フォリント(150億9,000万米ドル)と、小口融資全体の53%を占めている。

最高裁は、外貨建て住宅ローンの債務者が為替変動リスクを含めたローンのリスクを負担することは妥当との判断を示す一方で、金利引き上げなどローン契約条項の一方的な変更は厳格な条件の下でのみ許容されると指摘。さらに、貸し付けの際と毎月の返済額を計算する際に異なる為替レートを適用する銀行の慣行は不当であり、貸付、返済ともハンガリー国立銀行の公式為替レートを適用すべきであるとした。

与党フィデス(ハンガリー市民同盟)のロガン院内総務は、最高裁の判決を受けて外貨建てローン債務者の救済策の策定作業を加速させる方針を示し、「銀行が借り手から不当に取り上げたものすべてを取り返すことが原則だ」と強調した。

経済ニュースサイト『portfolio.hu』では、国内のローン契約すべてに公式為替レートを適用し、銀行が債務者に補償することになった場合、銀行部門の負担額は最大960億フォリントに達すると試算している。