2010/3/15

環境・通信・その他

汚染地域の周辺企業に賠償責任、「汚染者負担」ルール適用=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所(ECJ)は9日、環境汚染の現場付近に工場などの施設を持つ事業者を汚染の原因とみなし、賠償責任を負わせることができるとする判決を言い渡した。これはイタリアの司法当局が環境破壊に対する自国の賠償制度に関連して […]

欧州司法裁判所(ECJ)は9日、環境汚染の現場付近に工場などの施設を持つ事業者を汚染の原因とみなし、賠償責任を負わせることができるとする判決を言い渡した。これはイタリアの司法当局が環境破壊に対する自国の賠償制度に関連して、「汚染者負担」の原則を定めたEUの「環境責任指令」との整合性についてECJに判断を求めていたもの。判決は特定の事業者と汚染の因果関係を示す「説得力のある証拠」が存在する場合、各国当局は当該事業者に賠償責任を課すことができるとの判断を示した。

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今回の事案はイタリアの行政当局がシチリア島東部プリオーロ・ガルガッロ地域の深刻な環境破壊について、周辺の石油化学工場から排出される有害物質を汚染の原因とみなし、同地域に拠点を置く複数の事業者に賠償責任を課したのが発端。国内最大の石油会社エニなど4社は当局の決定を不服として共同で訴えを起こし、シチリアの行政裁判所が汚染者負担の原則に基づくEU指令と国内法の関連について、ECJに法的解釈を求めていた。

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ECJは判決で、EUの環境責任指令はある事業者が汚染地域で生産活動を行っているという事実に基づき、当局が事業者と汚染の因果関係を推定し、賠償責任を負わせることを認めた国内法を排除しないと指摘。事前に十分な調査を行い、汚染との因果関係を示唆する強固な証拠が得られた場合、当該事業者に環境の修復とそれに要する費用負担を命じることができると結論づけた。

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