2011/7/4

競争法

仏検索エンジンがグーグルに賠償請求、独占的地位の乱用と主張

この記事の要約

インターネット検索エンジンを運営する仏「1プラスV(1plusV)」は6月28日、米グーグルに2億9,500万ユーロの損害賠償を求める訴訟をパリ商事裁判所に起こした。1プラスVはグーグルがネット検索市場における支配的地位 […]

インターネット検索エンジンを運営する仏「1プラスV(1plusV)」は6月28日、米グーグルに2億9,500万ユーロの損害賠償を求める訴訟をパリ商事裁判所に起こした。1プラスVはグーグルがネット検索市場における支配的地位を利用してライバルを市場から締め出そうとしており、同社は検索エンジンの開発を妨害されて事業機会を失ったと主張している。

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検索市場におけるグーグルの商慣行をめぐっては、すでに欧州委員会が競争法違反の疑いで昨年11月から調査を進めているほか、米連邦取引委員会(FTC)も反トラスト法関連で同社に対する調査を開始しているが、1プラスVの動きを受け、市場では競合する検索エンジンが相次いでグーグルを提訴する事態を予測する向きもある。

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1プラスVはグーグルの商慣行がEU競争法に違反しているとして、昨年2月に英独2社と共同で欧州委に苦情を申し立てた法律関連の検索エンジン「Ejustice.fr」の親会社。同社はグーグルが自社の検索エンジンとオンライン広告プラットフォーム「アドセンス」を不当に連動させ、他の検索エンジンからはアドセンスを利用できないようにしたと指摘。Ejustice.frのような専門分野に特化した「垂直型検索エンジン」が収益を確保するにはアドセンスの利用が不可欠だが、グーグルのシステムを回避して自社の検索エンジンからアドセンスにアクセスすることは技術的に不可能で、グーグルの商慣行は市場支配的地位の乱用に当たると主張している。

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グーグルは提訴に関してコメントを控えている。同社の広報担当は「訴訟については通知を受けたばかりで現時点でコメントすることはできない。当社は常にユーザーにとって最善と思われることをしてきた。それがグーグルの理念であり、当社の立場について説明する機会が持てることを期待している」と述べるにとどめた。

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大手法律事務所クリフォードチャンスのパートナー、トーマス・ビニエ氏によると、ネット検索に関連したグーグルの商慣行をめぐって損害賠償請求に踏み切ったのは1プラスVが初めて。同氏は他の検索エンジンが追随する可能性は十分にあるとの見方を示し、そうなればグーグルは欧米の競争当局による調査に加え、同業他社からの賠償請求という新たな逆風にさらされることになると警告している。

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