2011/9/12

産業・貿易

欧州委、対外エネルギー戦略を発表

この記事の要約

欧州委員会は7日、エネルギー供給の確保と国際協力に関する政策文書(コミュニケーション)を採択した。EUの対外エネルギー関係について包括戦略を初めて示したもので、エネルギー分野における第三国(非EU諸国)との関係で、欧州委 […]

欧州委員会は7日、エネルギー供給の確保と国際協力に関する政策文書(コミュニケーション)を採択した。EUの対外エネルギー関係について包括戦略を初めて示したもので、エネルギー分野における第三国(非EU諸国)との関係で、欧州委が示す指針に基づき加盟国に共同歩調をとることなどを求めている。

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戦略に掲げられている43の具体的行動のうち主なものは、◇エネルギー分野で第3国と協定を結ぶ場合は、交渉段階からその情報を共有することが義務付けられ、場合によって欧州委がEU法やエネルギー安全保障の観点から見解を示す◇カスピ海横断ガスパイプラインのようにEU全体の利益にかかわるプロジェクトで協定を締結する場合、加盟国だけでなくEUレベルでも交渉を行う◇南地中海諸国と再生エネルギー事業で協力を提案する◇国際原子力機関(IAEA)とともに、国際的に法的拘束力を持つ原子力安全基準の策定を主導し、原子力安全評価をEU近隣諸国にも拡大する――など。

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域内で消費される石油の8割、天然ガスの6割を輸入に頼るEUでは、2006年にロシアとウクライナの紛争の影響で天然ガス供給が一時ストップしたことを契機に、エネルギー政策の共通化に取り組んでいる。エッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は、「EUのエネルギー政策は過去数年間で大きな進展を遂げた。今後はその成果を域外に広げ、エネルギー供給を確保し、国際的なパートナーシップを促進していく必要がある」と述べたうえで、「エネルギー政策の成功が、共通の対外エネルギー政策の成功にかかっていることは明白だ」として、「第三国とのエネルギー関係における一貫したアプローチ」の必要性を強調。ロシアなどエネルギー供給国との交渉において「加盟国が足並みを揃えれば、全く重みが違ってくる」と、エネルギー政策における協調の重要性を訴えた。

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