2011/9/12

競争法

英携帯電話スリーが苦情申立て、3社のモバイルコマース合弁計画で

この記事の要約

英携帯電話サービス会社のスリー(Three)は9日、同業の英ボーダフォン、スペインのテレフォニカの英子会社であるエブリシング・エブリウェアが計画しているモバイルコマース関連の合弁事業が実現した場合、競合他社は同分野から締 […]

英携帯電話サービス会社のスリー(Three)は9日、同業の英ボーダフォン、スペインのテレフォニカの英子会社であるエブリシング・エブリウェアが計画しているモバイルコマース関連の合弁事業が実現した場合、競合他社は同分野から締め出されることになるとして、欧州委員会に苦情を申し立てたことを明らかにした。スリーは成長が見込めるモバイル決済サービス事業で大手3社が市場を支配しようとしているなどと主張し、欧州委に調査を要請している。

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ボーダフォンなど3社は6月、モバイル決済システムの共通プラットフォーム構築を目的とする合弁会社を設立すると発表した。近距離無線通信(NFC)技術を利用したモバイル決済サービスのほか、割引クーポンの配布などを計画しており、競争当局の承認を得て年内の設立を目指すとしている。

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スリーのラーナー規制問題担当責任者は声明で、合弁事業からスリーを排除することは、3社が主張する「モバイルコマースのワンストップショップを構築する」との理念に反すると指摘。「英国の携帯電話市場で90%のシェアを占める大手3社は消費者の利益のために競争するのではなく、なれ合いの協力関係を築き、結託してライバルを追い出そうとしている。EU当局はいかなる状況でもこうした性格の提携を認めるべきではない」と強調。スリーが排除された形で欧州委が3社の合弁事業を認めた場合、「(市場支配力を持つ)大手事業者がライバルを締め出す悪しき前例」が欧州全体に広がることになると警告している。

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今回の動きを受け、大手3社は共同で声明を発表。「合弁事業に参加していない企業がそこで開発される技術を活用することについては何の問題もない。同業他社に合弁事業への参加を呼び掛ける前に、3社の専門性と経験を組み合わせてできるだけ早い段階で事業をスタートさせることは理にかなっている」と反論している。

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