2012/2/20

総合 –EUウオッチャー

英仏など12カ国「マクロ経済不均衡」の恐れ、EUが詳細調査へ

この記事の要約

欧州委員会は14日、EU27カ国のうち英、仏など主要国を含む12カ国でマクロ経済の均衡が保たれていない可能性があるとする報告書を発表した。対象国の状況を詳しく調査し、不均衡があるかどうかを最終判断する。\ これまでEUは […]

欧州委員会は14日、EU27カ国のうち英、仏など主要国を含む12カ国でマクロ経済の均衡が保たれていない可能性があるとする報告書を発表した。対象国の状況を詳しく調査し、不均衡があるかどうかを最終判断する。

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これまでEUは安定成長協定を通じて、加盟国の財政状況をチェックしてきた。しかし、ギリシャに端を発した債務危機には、財政赤字だけでなく経済の構造的問題も遠因となっているとの反省を踏まえ、昨年末に発効した安定成長協定の改定に、マクロ経済面での不均衡も監視・制裁対象とすることを盛り込んだ。経常収支、競争力、民間債務、住宅価格など10項目の指標を組み合わせた「スコアボード」をまとめ、これに基づいて改善が必要と判断した国に「過剰不均衡是正手続き」を発動する。

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「年次警戒メカニズム・リポート」と称する今回の報告書は、マクロ経済監視の第1段階としてまとめられたもの。仏、伊、英、スペイン、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ハンガリー、スロベニア、ブルガリア、キプロスの12カ国が、詳細調査が必要な国として指定された。

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対象となった主要国のうち、フランスは世界市場での輸出シェアが低下傾向にあり、貿易収支が悪化していることが問題視された。英国は輸出悪化に加え、住宅価格の急騰で一般家庭の債務が急速に膨らんでいることが理由。このほか、財政が健全で、国債の格付けが最上級のフィンランドも、輸出シェアの低下、民間債務の増大を理由に要監視国となった。

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対象12カ国のうち、詳細調査で不均衡があると認定された国は、是正手続きを発動される。同措置に基づく是正命令に従わなかったユーロ参加国には制裁として、国内総生産(GDP)の0.1%に相当する制裁金が科されることになる。

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財政危機でEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けているギリシャ、アイルランド、ポルトガル、ルーマニアに関しては、すでに監視措置が講じられていることから、今回の調査の対象外となっている。

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