2012/2/20

環境・通信・その他

SNSのフィルタリング強制は違法、欧州裁がISPと同様の判断

この記事の要約

EU司法裁判所は16日、著作権保護されたコンテンツの違法な流通を阻止する目的で、フェイスブックやグーグル傘下のユーチューブをはじめとするソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に対してフィルタリングシステムの導入を強 […]

EU司法裁判所は16日、著作権保護されたコンテンツの違法な流通を阻止する目的で、フェイスブックやグーグル傘下のユーチューブをはじめとするソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に対してフィルタリングシステムの導入を強制することはできないとする判決を言い渡した。欧州裁は昨年11月、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に対するフィルタリング義務化を違法とする判決を下しており、今回もこれに沿った判断が示された。

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今回の事案はベルギーの著作権管理団体SABAMが同国のSNSであるネットログに対し、違法コンテンツを遮断するフィルタリングシステムの導入を求めて訴えていたもの。SABAMはネットログの加入者の多くがプロフィールページに著作権保護されたコンテンツを無断で投稿していると主張し、ユーザーによる著作権侵害行為を阻止する対策の導入と損害賠償を求めて同社を提訴した。ネットログはこれに対し、事業者にフィルタリングシステムの導入を強制することは電子商取引指令をはじめとするEU法に抵触すると反論。ベルギーの裁判所がEU司法裁に判断を求めていた。

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司法裁は判決で、ネットワーク上のコンテンツ流通を監視するシステムの導入はコストや技術面でSNSにとって大きな負担となり、事業者が自由にビジネスを行う権利を奪うおそれがあると指摘。また、個人情報保護や自由なコミュニケーションといったユーザーの基本的人権を侵害する懸念もあるとし、顧客によるネットワーク上のトラフィックを自己費用で監視することをSNSに義務づけることは「知的財産権の保護と自由に事業を行う権利のバランス」を損ない、EU法に合致しないと結論づけた。

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