2012/2/20

総合 –EUウオッチャー

ハンガリー政府が欧州委に回答、中銀独立性などの是正手続きで

この記事の要約

ハンガリーで1月に施行された中央銀行の機構改革などに関する法律がEU法に違反する恐れがあるとして、欧州委員会が同国に対する是正手続きを進めている問題で、ハンガリー政府は17日、同日までに欧州委に回答を提出したことを明らか […]

ハンガリーで1月に施行された中央銀行の機構改革などに関する法律がEU法に違反する恐れがあるとして、欧州委員会が同国に対する是正手続きを進めている問題で、ハンガリー政府は17日、同日までに欧州委に回答を提出したことを明らかにした。具体的な内容は不明だが、中銀およびデータ保護当局の独立性と、裁判官と検察官の強制的な定年引き下げに関する「3件の違反手続き」について回答したと説明しており、関連法の修正案などを提示したもよう。欧州委は先月17日にハンガリーに対する是正手続きを開始し、1カ月以内に改善策を講じない場合はEU司法裁判所に提訴すると警告していた。

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ハンガリー政府によると、回答文書はオルバン首相とバローゾ欧州委員長の会談を踏まえて作成したもので、欧州委の懸念に対応する内容になっているという。オルバン首相はラジオとのインタビューで、欧州委との話し合いは「比較的簡単なものになるだろう」と発言。「欧州委との間に大きな意見の隔たりがないことが確認されれば、議会に対して速やかに関連法の修正案を提出する」と述べた。

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オルバン政権は公共機関やメディアに対する政府の影響力拡大を図る政策を推し進めており、中銀総裁の権限縮小を柱とする中銀改革法もその一環。欧州委は新憲法に盛り込まれた裁判官と検察官の定年を強制的に70歳から62歳に引き下げる規定や、データ保護当局の権限を縮小する内容の規定についても独立性を脅かす恐れがあるとして強い懸念を表明していた。

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欧州委の報道官は回答期限までにハンガリー政府から改善策が提示されたことを確認し、慎重に内容を精査すると説明している。欧州議会でも司法・内政委員会が提出された文書の分析を進め、EU法との整合性を検証する。

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