2012/6/4

環境・通信・その他

10年の温効ガス排出量2.4%増、景気回復と寒波が主因=EEA

この記事の要約

欧州環境庁(EEA)が5月30日公表したリポートによると、EU27カ国における2010年の温室効果ガス排出量は前年比2.4%増の47億2,090万トンとなり、過去6年で初めて前年の水準を上回った。多くの国で景気が緩やかな […]

欧州環境庁(EEA)が5月30日公表したリポートによると、EU27カ国における2010年の温室効果ガス排出量は前年比2.4%増の47億2,090万トンとなり、過去6年で初めて前年の水準を上回った。多くの国で景気が緩やかな回復に向かい、それに伴って生産活動が活発化したことや、寒波の影響で電力需要が拡大したことが主な要因。09年は深刻な経済危機を受けて域内全体で生産活動が停滞した結果、温室効果ガス排出量が前年の水準を7.3%下回っていた。

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温室効果ガス排出量が大幅に減少した前年の反動で10年は増加に転じたものの、京都議定書の基準年である1990年との比較ではEU全体で15.4%減少した。従来からのEU加盟15カ国は議定書で08-12年に90年比8%の削減を求められているが、10年の総排出量は90年比で11%減となった。EEAは全体的な傾向としては、議定書が定める削減目標の達成に向けて順調に推移していると指摘している。

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一方、リポートによると、10年は再生可能エネルギー消費量が前年比で12.7%増加し、温室効果ガスの排出抑制に貢献した。EEAはさらに、天然ガスの取引価格が大幅に下落したことで、域内におけるガス消費量が前年比7.4%増となり、より二酸化炭素(CO2)排出量の多い石油や石炭の需要が抑制されたと分析している。

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11年の排出実績については現在、EEAが集計を進めているが、欧州委員会が先にまとめた報告書によると、EU排出量取引制度(EU-ETS)の対象となっている約1万2,000カ所の事業所や発電所から2011年に排出された温室効果ガス排出量は、CO2換算でおよそ18億8,900万トンとなり、前年の水準を2%下回った。

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