2012/6/4

総合 –EUウオッチャー

アイルランドが財政規律強化の新条約批准、国民投票で承認

この記事の要約

アイルランドで1日、EUの財政規律強化に向けた新条約批准の是非を問う国民投票が実施され、60.3%の賛成で批准が承認された。これによりアイルランドの条約参加が確定した。\ 英国、チェコを除くEU25 カ国が3月に調印した […]

アイルランドで1日、EUの財政規律強化に向けた新条約批准の是非を問う国民投票が実施され、60.3%の賛成で批准が承認された。これによりアイルランドの条約参加が確定した。

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英国、チェコを除くEU25 カ国が3月に調印した新条約は、債務危機の再発防止が目的。各国は財政均衡を維持するため、単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比0.5%以内に抑えることを求められる。赤字上限はEUの財政規律を定めた安定成長協定のGDP比3%より厳しくなる。

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条約批准の可否を国民投票で問うのはアイルランドだけ。新条約はユーロ圏の12カ国以上が批准した時点で発効となり、アイルランドが批准を否決しても大きな影響はなかった。しかし、未批准国は7月に創設される「欧州安定メカニズム(ESM)」から金融支援を受けることができないことから、債務危機ですでにEUなどから金融支援を受けているアイルランドが否決すると追加支援の道を絶たれることになっていた。また、財政再建を最優先し、重債務国に厳しい財政緊縮策の推進を求めるEUの姿勢を疑問視する動きが強まるなか、同国の国民投票での財政規律強化に対する“ノー”は、こうした流れを助長させることから、成り行きが注目されていた。

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