2012/6/25

産業・貿易

休暇中の病気療養は有給休暇から除外、欧州裁が百貨店労組の主張を支持

この記事の要約

欧州司法裁判所は21日、年次有給休暇を取得中に病気になった場合の扱いについて、病気療養に費やした日数は休暇から除外し、回復後に改めて有給として取得できるとの見解を示した。欧州裁はEUの「労働時間指令」で定められた最低4週 […]

欧州司法裁判所は21日、年次有給休暇を取得中に病気になった場合の扱いについて、病気療養に費やした日数は休暇から除外し、回復後に改めて有給として取得できるとの見解を示した。欧州裁はEUの「労働時間指令」で定められた最低4週間の年次有給休暇は、EU基本権憲章に明記された重要な社会的権利であり、有給休暇と病気休暇の目的もまったく異なると指摘している。

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今回の判決はスペインの百貨店労組が大規模小売り・流通業の業界団体ANGEDを相手取り、同国で集団訴訟を起こした事案に対するもの。労組側が年次有給休暇の取得中に病気にかかった場合、回復までの期間を病気休暇に切り替え、回復後にその分の休暇日数を改めて取得できる権利を認めるよう求めたのに対し、ANGEDは国内法の規定により、事前に労使間で明確な取り決めがない限り、途中で病気になった場合でも、予定された有給休暇期間を超えて新たに休暇を付与することはできないと主張。スペインの最高裁判所が欧州裁に判断を求めていた。

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欧州裁は年次有給休暇に入る直前に病気休暇を取った労働者のケースについて、年次休暇を取り直すことができると結論づけた過去の判決に触れ、「年次有給休暇に関する労働者の権利を限定的に解釈することは許されない」と指摘。さらに十分な休息をとり、リフレッシュするための年次有給休暇と、病気からの回復を目的とした病気休暇は本質的に異なるものだと強調し、労働者は病気になった時点と関係なく、最低4週間の年次有給休暇を取得する権利を有すると説明している。

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