2012/6/25

産業・貿易

ファイザーのゴーシェ病治療薬、欧州医薬品庁が承認却下

この記事の要約

米製薬大手ファイザーとイスラエルのプロタリクス・バイオセラピューティクスは22日、両社が共同開発したゴーシェ病治療薬「Elelyso」(一般名:タリグルセラーゼ)について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP) […]

米製薬大手ファイザーとイスラエルのプロタリクス・バイオセラピューティクスは22日、両社が共同開発したゴーシェ病治療薬「Elelyso」(一般名:タリグルセラーゼ)について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)からEU域内での販売に関する承認勧告を得られなかったことを明らかにした。EUは英シャイアのゴーシェ病治療薬「VPRIV」をオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として認定し、同社に2020年までEU市場における独占的販売権を与えているため。CHMPの勧告に拘束力はないが、欧州委員会は通常、勧告に沿って3カ月以内に最終決定を下している。

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ゴーシェ病は糖脂質を分解するライソゾームと呼ばれる酵素が生まれつき少ないため、糖脂質が体内の細胞に蓄積し、肝脾腫、貧血、出血、骨疾患などを引き起こす先天性の疾患。乳幼児期の発症では斜視、開口困難、痙攣といった神経症状を伴う。

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オーファンドラッグは患者数が少なく、市場規模が極めて小さい医薬品のことで、各国政府はこうした希少疾病の治療薬を開発する製薬会社やバイオテクノロジー企業に対し、税控除などの優遇措置を適用している。欧州委は2010年8月、シャイアのゴーシェ病治療薬「VPRIV」をオーファンドラッグとして認定し、同社に10年間の市場独占権を与えた。ファイザーによると、同社は欧州委の決定に対して異議を申し立てたが、却下されたという。

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なお、米食品医薬品局(FDA)は5月、長期にわたって使用可能な成人向けの酵素補充療法として、「Elelyso」の注射剤を正式に承認している。

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