2013/3/18

総合 –EUウオッチャー

ハンガリー議会、憲法改正案可決

この記事の要約

ハンガリー議会は11日、憲法裁判所の権限を大幅に縮小する憲法第4次改正案を賛成多数で可決した。反対は2票、保留は11票だった。野党・社会党(MSZP)は抗議して採決をボイコットした。今回の改憲には国内外で批判が高まってい […]

ハンガリー議会は11日、憲法裁判所の権限を大幅に縮小する憲法第4次改正案を賛成多数で可決した。反対は2票、保留は11票だった。野党・社会党(MSZP)は抗議して採決をボイコットした。今回の改憲には国内外で批判が高まっていたが、オルバン政権が数の力で押し切った格好。欧州委員会はEU法違反の是正手続きを開始することも視野に入れ、詳細を審査する方針を表明している。

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憲法裁判所はこれまで、民主主義の解釈に基づき、オルバン政権下で成立したいくつかの法律(条項)の無効を宣言してきた。今回の改正法案は憲法裁による独自判断を防ぐ狙いがある。

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まず、(1)今後の憲法解釈では2012年発効の現憲法のみが基準とされる。2012年以前の判決を根拠とすることは禁止される。(2)過去に憲法裁判所が無効を宣言した法律(条項)を憲法に取り込むことで復活させる。これには、◇政府が任命する法務局長が、特定の係争を扱う裁判所を決定できる◇政府が管理できない民間メディアにおける政党・選挙公報の禁止◇宗教団体を「教会」として認定する権限を議会に付与◇憲法で保障された「家族の保護」の適用を子どもを持つ既婚の男女に制限◇学費免除を受けた大学新卒者に免除期間の2倍の期間、国内で働くことを義務付け◇住所不定者を処罰し、施設に送る権利を当局に付与――などが含まれる。

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(3)憲法裁判所は憲法の内容を審査する権限を失い、今後は手続き上の合法・非合法を判断する。

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国内でも採決前から批判が高まり、首都ブダペストで開かれた9日の集会には数千人が参加した。保守派のショーヨム元大統領も今回の改正を「民主主義への攻撃」と非難。社会党に近い『ネプサバドシャーグ』紙上でアーデル大統領に拒否権を行使するよう求めた。

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欧州委のバローゾ委員長と、欧州評議会のヤーグラン事務総長は11日発表した共同声明で、今回の憲法改正が「司法国家の原則・欧州法・欧州評議会の規準に反する懸念がある」として、憲法専門家による審査開始を予告した。

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