2013/7/1

産業・貿易

ギリシャ、国営賭博会社の売却も暗礁か

この記事の要約

ギリシャの国有資産売却を進める政府機関の資産開発基金(HRADF)は6月27日、国営賭博事業会社OPAPの株式33%を取得することで合意していた投資ファンドと取引条件をめぐって対立していることを明らかにした。ギリシャは6 […]

ギリシャの国有資産売却を進める政府機関の資産開発基金(HRADF)は6月27日、国営賭博事業会社OPAPの株式33%を取得することで合意していた投資ファンドと取引条件をめぐって対立していることを明らかにした。ギリシャは6月中旬に国営ガス会社の売却に失敗したばかり。OPAP民営化もとん挫すると、EUなどに約束した国有資産売却の目標達成が困難となる。

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ギリシャ政府は5月、OPAPの株式33%をチェコ、ギリシャの実業家が率いる投資ファンドのエンマ・デルタに7億1,200万ユーロで売却することで合意した。しかし、HRADFによると、エンマ・デルタは同合意の前に決まっていたOPAPの国営宝くじ運営契約と、OPAPが国内企業と交わした技術サービス委託契約を取り消し、契約料を引き下げることを求めている。HRADFはこれを受け入れられないとしており、合意が破棄される可能性がある。

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ギリシャはEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援の条件として、財政再建策の一環として2016年までに国有資産の売却で95億ユーロを調達することを求められている。しかし、大きな柱である国営ガス会社DEPAの売却が、ロシア天然ガス最大手ガスプロムとの交渉決裂によって暗礁に乗り上げている。これに続いてOPAP売却も先送りされると、今年に資産売却で26億ユーロを調達するという目標の達成は絶望的となり、EUによる次回融資の実施が見送られる恐れがある。

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