2013/9/30

産業・貿易

不可抗力の遅延にも補償義務、鉄道会社の約款めぐる訴訟で=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所は26日、鉄道事業者は自ら回避できない不可抗力によって列車の運行に遅延が生じた場合でも、運賃の一部払い戻しなどの補償義務を負わなければならないとする判決を言い渡した。たとえ悪天候や自然災害など不測の事態が原 […]

欧州司法裁判所は26日、鉄道事業者は自ら回避できない不可抗力によって列車の運行に遅延が生じた場合でも、運賃の一部払い戻しなどの補償義務を負わなければならないとする判決を言い渡した。たとえ悪天候や自然災害など不測の事態が原因で列車に遅れが生じた場合でも、鉄道事業者はEUルールに沿って補償を行う義務があり、旅客鉄道運送約款にこうした不可抗力を免責事項として盛り込んではならないと結論づけている。

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EUでは第3次鉄道パッケージの一環として、2007年に「旅客の権利と義務に関する規則」が制定され(2009年発効)、その中で列車に遅延が生じた場合の補償義務が定められている。これによると、鉄道事業者は最終目的地への到着が1時間以上遅れた場合、料金の一部払い戻し、直近の列車の手配、経路変更などの要求に応じなければならず、遅延が2時間以内の場合は運賃の25%、2時間を超える場合は50%を補償することが義務づけられている。

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今回の事案は、オーストリア連邦鉄道(OEBB)が約款の中で悪天候などの不可抗力による遅延を補償の適用除外としている点を問題視し、オーストリアの鉄道当局がOEBBに同項目の削除を命じたことが発端。OEBBは当局の決定を不服として提訴し、同国の行政裁判所がEU規則との整合性についてEU司法裁に判断を求めていた。

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欧州裁は判決で、EU規則は鉄道事業者の補償義務について、不可抗力による遅延を適用除外となる事由とはみなしていないと指摘。鉄道事業者が約款に不可抗力による遅延を免責事項として記載してはならないと結論づけた。一方、不可抗力による列車の遅延によって生じた損害(会議に遅れたため取引が成立しなかったなど)に関しては、鉄道事業者に補償責任はないと説明している。

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