2014/3/17

環境・通信・その他

欧州議会がFガス規制強化案を可決、30年までに排出量3分の1に

この記事の要約

欧州議会は12日の本会議で、温室効果ガスのフロン類(Fガス)を大幅に削減するための規制案を賛成多数で可決した。2030年までにEU域内におけるFガスの排出量を現在の3分の1まで減らすことなどを柱とする内容。EU加盟国の承 […]

欧州議会は12日の本会議で、温室効果ガスのフロン類(Fガス)を大幅に削減するための規制案を賛成多数で可決した。2030年までにEU域内におけるFガスの排出量を現在の3分の1まで減らすことなどを柱とする内容。EU加盟国の承認を経て2015年の新ルール導入が見込まれる。

Fガス類はクロロフルオロカーボン(CFC)をはじめとするオゾン層破壊物質の代替として主に冷媒や断熱材として普及しており、冷蔵庫、エアコン、電気機器、消火器など幅広い製品に使用されている。しかし、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約2万3,000倍に上るほか、Fガスを用いた製品の製造・使用・廃棄の各段階で大気中に漏れ出す難点もある。EU内では1990年以降、Fガスを除くすべての温室効果ガスが減少しているのに対し、Fガスは逆に60%増加している。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、12年11月にFガスに対する規制強化策を打ち出した。

新たな規制案によると、家庭用冷蔵庫など、より環境負荷の少ない代替物が容易に使用できる場合は、新たに生産する製品へのFガスの使用が禁止される。また、Fガスの中で特に地球温暖化係数(GWP)が大きいハイドロフルオロカーボン(HFC)に関しては、域内で販売される製品への使用を段階的に減らし、30年までに09-12年比で79%削減する措置が盛り込まれている。

欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は「欧州からFガスを排除するための重要な一歩を踏み出した。新規制は温暖化防止に貢献するだけでなく、より革新的な環境技術への投資を促し、ビジネスチャンスの拡大につながる」と述べ、欧州議会の動きを歓迎した。

Fガス規制をめぐっては、オゾン層の破壊物質を規制するための国連の「モントリオール議定書」の枠組みでHFCの生産や消費を規制する案が検討されている。米国や中国はHFCの大幅な削減に向けた国際的取り組みを支持する一方、インドなどは京都議定書の原則に基づいて先進国に相応の負担を求めるべきだと主張し、議論は平行線をたどっている。