2014/3/24

産業・貿易

中国とのワインめぐる通商紛争解決、中国が反ダンピング調査打ち切り

この記事の要約

欧州委員会は21日、中国とEU産ワインをめぐる通商紛争の解決で合意したと発表した。中国はEUが中国製太陽光パネルに反ダンピング関税を課したことへの報復措置として、EU産ワインへの反ダンピング(不当廉売)調査などを開始して […]

欧州委員会は21日、中国とEU産ワインをめぐる通商紛争の解決で合意したと発表した。中国はEUが中国製太陽光パネルに反ダンピング関税を課したことへの報復措置として、EU産ワインへの反ダンピング(不当廉売)調査などを開始していた。双方は18日、EU製の太陽光パネル向け多結晶シリコンに関する紛争でも合意しており、習近平国家主席の欧州訪問を前に通商上の大きな懸案を解決した格好だ。

中国は昨年7月、国内でEU産ワインが不当に安い値段で販売され、国内の業者が深刻な打撃を受けているとして、反ダンピング、反補助金調査を開始した。EUが前月に中国製太陽光パネルへの反ダンピング措置発動を発表したことへの対抗措置だった。

双方は太陽光パネルをめぐる紛争の解決を受けて、ワイン業界団体間の紛争解決に向けた協議を昨年11月に開始していた。欧州委によると、同協議では、EUのワイン業界が中国産ワインの品質向上、中国でのワイン普及などに向けた技術的支援を行う見返りに、中国側が政府に反ダンピング、反補助金調査の中止を要請することで合意。これを受けて中国商務省は21日、同調査の打ち切りを発表した。

EU製の太陽光パネル向け多結晶シリコンをめぐっては、中国が2012年11月、同国製太陽光パネルへの反ダンピング調査を実施していたEUをけん制するため、反ダンピング、反補助金調査を開始していた。同問題についても、標的となっていた独ワッカー・ケミーが、中国での販売に最低価格を設けることで中国政府と18日に合意。商務省は同日に調査打ち切りを発表した。

両問題の解決により、EUと中国のダンピング関連の紛争は、中国製の通信設備の反ダンピング問題を残すだけとなった。欧州委は昨年5月、華為技術などが携帯電話用の通信設備を廉価でEU市場に輸出している疑いがあるとして、調査を行う意向を表明。まだ調査は開始されていないが、中国側が強く反発している。