2014/3/24

欧州ビジネスウオッチ

ブイグがSFR買収額を引き上げ、アルティスに対抗

この記事の要約

仏携帯電話サービス2位SFRの買収に乗り出している仏コングロマリット(複合企業)のブイグは20日、新たな買収案を提示したと発表した。SFR買収をめぐっては、親会社ビベンディが先ごろ、仏ケーブルテレビ大手ニュメリカーブルの […]

仏携帯電話サービス2位SFRの買収に乗り出している仏コングロマリット(複合企業)のブイグは20日、新たな買収案を提示したと発表した。SFR買収をめぐっては、親会社ビベンディが先ごろ、仏ケーブルテレビ大手ニュメリカーブルの親会社アルティス(ルクセンブルク)と独占交渉に入ったが、ブイグは買収額を引き上げ、巻き返しを図る。

ブイグの従来の買収提案は、ビベンディは現金113億ユーロと、ブイグ傘下の通信会社ブイグ・テレコムとSFRの統合によって誕生する新会社の株式43%を受け取るという内容。新提案では現金部分を18億5,000万ユーロ上積みして、131億5,000万ユーロに引き上げる。株式部分は21.5%に引き下げる。アルティスの現金117億5,000万ユーロ、新会社の株式32%という買収提案と比べて、現金部分で14億ユーロ上回る。

さらにブイグは、政府系金融機関の預金供託公庫(CDC)や株主の広告会社ジーセードコー、高級ブランド「ケリング」などのオーナーであるピノー家などがSFR統合後の新会社に出資することも明らかにした。CDCは3億ユーロを出資して株式3%を握るという。

ビベンディは中核のメディア部門に経営資源を集中するためSFRの売却を計画しており、5日までにブイグとアルティスが買収を提案。ビベンディは14日、アルティスの提案を「より適正」として、同社と独占交渉に入ったと発表していた。仏政府は外国企業のアルティスによる買収に難色を示しているが、ブイグ・テレコムとSFRの統合には、新会社が仏携帯電話サービスで首位に躍り出るほか、国内の同市場が3社体制に縮小するとう競争上の問題があり、EUの買収審査が長期化するのは確実なことから、アルティスとの交渉を優先したとみられている。

ビベンディはブイグの新提案について、アルティスと交渉中としてコメントを避けている。