2014/3/24

環境・通信・その他

欧州議会産業委が通信規制改革案を承認、携帯ローミング上乗せ廃止へ

この記事の要約

欧州議会の産業委員会は18日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング(相互接続)にかかる上乗せ料金の廃止などを盛り込んだ通信規制改革案の修正案を賛成多数で承認した。通信会社が国境をまたいで事業展開しやすい環境 […]

欧州議会の産業委員会は18日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング(相互接続)にかかる上乗せ料金の廃止などを盛り込んだ通信規制改革案の修正案を賛成多数で承認した。通信会社が国境をまたいで事業展開しやすい環境を整えて競争を促し、消費者に低価格で質の高いサービスを提供するのが規制改革の狙い。4月3日の欧州議会本会議で採決が行われ、EU加盟国の正式承認を経て新ルールが導入される。

EUでは2007年6月に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際の国際ローミング料金が段階的に引き下げられている。昨年7月に導入された最新の料金体系を07年の水準と比較すると、データ通信は最大91%、音声通話とSMSも80%以上の料金引き下げが実現した。しかし、欧州委員会は通信分野における単一市場を創設するため、域内のどこにいても同じ料金で各種サービスを利用できるようにする必要があるとして、昨年9月に国際ローミングにかかる上乗せ料金の廃止を盛り込んだ通信規制改革案を発表。欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案について検討が進められている。

欧州委は16年末までに域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング手数料の上乗せを原則として廃止することを提案していたのに対し、欧州議会産業委では同措置の期限を15年12月15日とする修正案が承認された。また、欧州委の原案には域内における国際電話の通話料金を国内料金並みに引き下げるルールが盛り込まれていたが、産業委は新たな料金規制を導入する必要はないとして同規定は修正案から削除された。

欧州委はさらに、企業が長期的な計画に基づいて投資しやすい条件を整えるため、加盟国間で契約条件を調和させるなど、EUレベルで周波数管理を行うことを提案している。産業委はこれをさらに一歩進め、第4/第5世代移動通信システムへの投資を促してイノベーションを推進するため、事業者が周波数帯の利用権を部分的にリースまたは転売しやすくするルールの導入を提案している。

改革案にはこのほか、無線通信インフラを持つ事業者が自社と競合するサービスに対し、意図的に通信速度を遅くしたり、データ通信量を制限したり、不当に高い通信料金を請求するなどの差別的行為を禁止する「ネット中立性」の原則が盛り込まれている。