欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/1

EU情報

欧州委が仏伊など11カ国に警告、銀行「ベイルイン」制の法整備遅延で

この記事の要約

欧州委員会は5月28日、EU域内の銀行が危機に陥った際の救済、破綻処理の手続きを一元化する「銀行再生・破綻処理指令(BRRD)」に盛り込まれた「ベイルイン」制度導入に必要な法整備を怠っているフランス、イタリアなど11カ国 […]

欧州委員会は5月28日、EU域内の銀行が危機に陥った際の救済、破綻処理の手続きを一元化する「銀行再生・破綻処理指令(BRRD)」に盛り込まれた「ベイルイン」制度導入に必要な法整備を怠っているフランス、イタリアなど11カ国に対して警告を行い、2カ月以内に対応するよう指示した。

銀行の救済、破綻処理の手続きを一元化する制度は、EU銀行同盟創設構想の第2段階。今年1月に始動した。その柱のひとつとなるベイルイン制は、危機に直面する銀行に「単一破綻処理基金」と呼ばれる共通基金(非ユーロ圏の場合は各国が設立した破綻処理基金)を使って資金を注入する前に、対象銀行の債権者、大口預金者にまず負担させるというもの。2008年の金融危機で経営難に陥った域内の銀行を支えるため、巨額の公的資金注入を迫られた経験を踏まえて導入された。

銀行同盟に参加する加盟国は昨年末までにBRRDに基づく法整備の完了を義務付けられていた。しかし、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、ポーランド、チェコ、ブルガリア、ルーマニア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタの11カ国はベイルイン制導入に必要な法整備を終えていない。このため欧州委は2カ月の猶予を与え、対応を促した。これを順守しない国については、欧州司法裁判所に提訴することになる。