欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/17

EU情報

ユーロ圏がギリシャ新支援を正式決定、20日までに第1弾実施へ

この記事の要約

ユーロ圏は14日に開いた臨時財務相会合で、ギリシャに対する新たな金融支援の実施を正式決定した。支援は3年間で総額最大860億ユーロ。ドイツなどの議会承認を経て、第1弾の融資を20日までに実施する予定だ。 ユーロ圏の金融安 […]

ユーロ圏は14日に開いた臨時財務相会合で、ギリシャに対する新たな金融支援の実施を正式決定した。支援は3年間で総額最大860億ユーロ。ドイツなどの議会承認を経て、第1弾の融資を20日までに実施する予定だ。

ユーロ圏の金融安全網である「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用する支援は、ギリシャが約束した財政再建など構造改革の実行状況をにらみながら段階的に実施する。うち250億ユーロはギリシャの銀行の資本増強に充てる。

第1弾の融資は260億ユーロ。160億ユーロが資金繰り支援となる。これは2段階に分けて行われ、初回分の130億ユーロは20日までに実施する。これによってギリシャは、同日に期限を迎える欧州中央銀行(ECB)に対する約32億ユーロの国債償還に必要な資金を確保できる。残る融資は改革の進展状況に応じて、今秋をめどに実施する。

第1弾に含まれる100億ユーロの銀行向け支援は即座に実施する。残る160億ユーロは、銀行のストレステスト(健全性審査)の結果を待って、11月15日までに実施する計画だ。

ユーロ圏は7月13日の首脳会議で、ギリシャへの新たな金融支援実施で基本合意。債権者の欧州委員会、ECB、国際通貨基金(IMF)とギリシャ政府が実務者協議で支援条件を詰めていた。

同協議でギリシャ政府は、債権者側が追加で求めた2016年までのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化、公務員の退職年齢引き上げなどを受け入れ、11日に合意に達した。これらを盛り込んだ追加の財政改革法案が14日にギリシャ議会で承認されたことを受け、ユーロ圏は支援実施を正式決定した。

今回のユーロ圏財務相会合では、7月の首脳会議で決まったギリシャの国有資産の一部をEUの基金に移管し、民営化を迅速に進める案についても最終決定した。同基金をギリシャに創設し、年末までに始動させる。これによって500億ユーロを調達し、ギリシャの債務返済、銀行の支援に充てる。

ユーロ圏ではドイツなどが新支援にIMFも参加するよう求めている。しかし、ギリシャの債務問題を根本的に解消するためには債務の減免が必要と主張し、その実現を支援参加の条件とするIMFに対して、ドイツが債務軽減に慎重な姿勢を示し、合意に至っていない。今回の財務相会合でも債務減免に関する決定は先送りされた。ただ、共同声明には、債務の元本削減は認めないものの、ギリシャ政府が改革を約束どおり進めていることが10月に確認されれば、債務返済期限の延長などに応じる用意があるとする文言が盛り込まれた。