欧州委員会は9日、スロベニア政府がフラッグキャリアであるアドリア航空に対して実施した公的支援について、EUの国家補助規定に違反しないとの判断を示した。
欧州委は、アドリア航空に過半数を出資するスロベニア政府が経営難に陥っていた同社に対し2007、09、10、11年の4回にわたって行った資本注入と、同航空が10年に実施した子会社AATの売却がそれぞれ違法な国家補助にあたる可能性があるとして、12年11月から調査していた。その結果、07、09、10年に実施された計1,520万ユーロの資本注入は国家補助にはあたらず、AATの売却も市場条件に基づいて実施されており問題はないと判断。一方、11年に実施された5,000万ユーロの資本注入については国家補助に該当するものの、アドリア航空の再建計画は現実的な想定に基づいており、長期にわたる事業の存続を可能にする内容であること、同航空が支援を受けるにあたって、運行路線の削減など同業他社との平等な競争条件を確保するための補償措置を実施し資産売却も進めていることなどから、2004年に導入された企業救済・事業再生のための国家補助ガイドラインが遵守されているとして、違法な国家補助にはあたらないとの見解を示した。
アドリア航空のアンジュル最高経営責任者は、「再建プロセスと将来計画が欧州委員会に認められたことはアドリア航空にとって極めて大きな意味がある。欧州委の決定は、当社が明確なビジョンと使命を持った現代的で収益をあげることのできる企業へと進んでいることを確認するものだ」と述べた。