2015/7/29

総合・マクロ

ロシア経済、近く底を打つか

この記事の要約

ロシア経済省は28日、6月の国内総生産(GDP)が前年同月比で4.2%縮小したと発表した。減少幅は5月の4.8%から0.6ポイント縮まった。また、前月比(季節調整値)では0.1%減にとどまったため、市場では景気が近く底を […]

ロシア経済省は28日、6月の国内総生産(GDP)が前年同月比で4.2%縮小したと発表した。減少幅は5月の4.8%から0.6ポイント縮まった。また、前月比(季節調整値)では0.1%減にとどまったため、市場では景気が近く底を打つとみている。1-6月期のGDPは前年同期比で3.4%減だった。

ロシア経済の今後の見通しについては、発表機関ごとに成長予測値に大きなずれがある。ウリュカエフ経済相は、通期GDPが2.6~2.8%縮小すると予測。来年は逆に2%以上のプラスを見込む。一方、中央銀行はそれぞれ3.2%減、0.7%増と慎重だ。ロイター通信が集計したアナリスト予測は3.5%減、0.5%増と、中銀よりもさらに悲観的な見通しとなっている。

ロシア経済の今後にルーブル安が果たす役割についても見方は分かれる。過去2回の経済危機(1999、2008年)でみられたように、経済の柱である資源産業が輸出を伸ばして急速に景気が回復するというのが一つの意見だ。

一方で、先端技術など今後の育成が必要な分野は輸入に大きく依存するため、発展が阻害されるという指摘もある。この立場からみると、ルーブル安は資源に頼る旧来の産業構造の温存につながり、将来へ向けた脱皮を難しくする問題をはらんでいる。

また、過去2回の危機と異なるのは、ウクライナ紛争をめぐって欧米との関係が悪化していることだ。今年1-3月期の外国直接投資(FDI)は2013年の400億米ドルから14年には129億ドル、今年は13億ドルまで落ち込んだ。欧州は主要取引先の一つであり、ウクライナ問題がどう影を落とすのか、この点もロシア経済の先を読み解きづらくしている。

■年間インフレ率は10.5~11%に

ディミトリ・オレシュキン副経済相は27日、「原油相場が現在の水準にとどまれば」、今年通期のインフレ率が実質で10.5~11%になるとの見方を示した。同経済相は「どちらかといえば」11%に近い数値になるとの立場を示している。

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