2015/7/29

コーヒーブレイク

電力計の取り付け位置と差別~ブルガリア

この記事の要約

裁判というのはときに突飛と思えるような案件を扱うことがある。欧州司法裁判所(ECJ)が16日に下した判決もその一例だ。 争点となったのは「電力メーターを高い場所に取り付けることがロマ(ジプシー)への差別に当たるか」。盗電 […]

裁判というのはときに突飛と思えるような案件を扱うことがある。欧州司法裁判所(ECJ)が16日に下した判決もその一例だ。

争点となったのは「電力メーターを高い場所に取り付けることがロマ(ジプシー)への差別に当たるか」。盗電に悩んだ電力会社が1999年以来、ロマが多く住む地域で屋外の電信柱などにメーターを取り付けていることが問題となった。取り付け位置は最高で地上6メートル。メーターの不正操作を防ぐというのがその理由だ。

初めは文句を言う人はいなかったが、2008年、あるロマ地区で店舗を営むアネリア・ニコロヴァさんが立ち上がった。

きっかけは「電力料金の請求額が高すぎた」ことだった。ニコロヴァさん自身はロマではないが、店がロマ地区にあるため、メーターは高所にある。自分では消費量を確認できないため、電力会社に低い位置に取り付けなおすよう要求した。

電力会社はこれを拒否し、ニコロヴァさんが経費を負担すれば「第2メーター」を取り付けると言ってきた。そのため、ニコロヴァさんはブルガリアの「反差別局」に異議を申し立てた。しかし、「反差別局」が電力会社を支持したため、争いは裁判に持ち込まれ、ブルガリアの裁判所が欧州司法裁に判断を求めた。

そしてようやく16日、ニコロヴァさんは勝訴した。

欧州司法裁は、たとえ他の地区に比べてメーターが不正操作されたり壊されたりすることが多かったとしても、メーターの取り付け位置を変えるのは問題解決法として適切ではないとした。国や電力会社は電力網・メーターの安全を確保するために他の方法を考案しなければならなくなった。

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